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かるめぎ61号

北朝鮮人権法案の成立と脱北者保護、北朝鮮の人権改善に向けて、
3・13(大阪)3・20(東京)
脱北帰国者・日本人配偶者証言集会

内容、場所などは守る会ホームページなどで順次発表いたしますが、

この3月13日(日)大阪、20日(日)東京にて、

  ここ日本に北朝鮮からここ数年来に「再帰国」した、元北朝鮮帰国者、日本人妻による証言集会を行う予定です。

  この方々は帰国事業により北朝鮮に渡り、今も北朝鮮にご家族を残されており、これまでは公的な場では証言を控えてきた方々が殆どですが、このたび、ついに勇気をふるい、脱北者保護、帰国者・日本人配偶者の救出、北朝鮮の人権改善、そして中国における脱北者保護の確立などを目指し、立ち上がってくださる方々が現れはじめました。

  北朝鮮人権法案の成立に向けて、ここ日本で私たちと共に生きている、同胞・隣人としての脱北帰国者の証言に是非耳を傾けてください。


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目  次

○ソウル・ホロコースト展からの報告
○「北朝鮮人権法」 の早期制定に向けて
○北朝鮮の人権と難民に関する第6回国際会議 開催概要
○アムネスティ、 煙台ボートピープルの救援に動く!
○北朝鮮人権法案を読む
○守る会関東支部学習会のお知らせ
○北朝鮮の経済構造と飢餓輸出
○12・22世界統一行動 世界各国の市民団体が、 各国中国大使館前にて脱北者保護を訴える
○書評 「金正日 隠された戦争」 萩原 遼著
○韓国・北朝鮮・中国が“脱北者抑圧連帯”を構成するのか
○「脱北斡旋ブローカー」 を取り締まる政府

 

ソウル・ホロコースト展からの
報告
   
守る会国際部 依藤 朝子

 昨年11月8〜10日、韓国・ソウルの国会議員会館や韓国経済人会館で、北朝鮮ホロコースト展示会と講演会が行われました。韓国でも複数の新聞などで大きく報道され、多くの人の目に留まったようです。
  私が入手しただけでも、『朝鮮日報』10日号総合面には中国で拘束されている崔さんの奥さんやショルテさんの写真と記事が掲載され、The Korea Heraldの10日号3面と13日号3面にも、中国大使館前でのデモの写真と記事などが掲載されました。

 初日の朝10時、展示場で行われた開会式には、主催の文国韓氏、スザンナ・ショルテ氏、ハンミちゃんご家族、救援基金の方々、拘束されている崔さんのご家族、日韓の議員の方々、守る会ともゆかりの深い民主化運動本部などNGOの方々が集い、黄ジャンヨプ氏とハンナラ党の朴槿恵党首もずっと前に立っておられ、取材の記者の方も数多くいらっしゃいました。

 展示場には北朝鮮に関する各国の本や北朝鮮の教科書や本、生活用品が並べられ、テレビでは北のドラマが流され、壁にはとても大きなパネルのほか、脱北した男の子が描いた絵が大きく掲示されていました。脱北者の潜伏生活についてのコーナーでは、潜伏中に折った数万個ほどはありそうな折り紙の鶴がつまれ、また亡くなった脱北者たちが身に付けていたジャケットやスニーカーが展示され、胸がつまる思いでした。

 苦しんで亡くなった北朝鮮市民すべてを悼むコーナーでは、棺に向かって白い菊の花を自由に手向けることができました。ここに先日出版した本2冊と、守る会の『生命と人権』のセットを展示してもらいました。

 講堂では、期間中ずっと数本の脱北者の記録映画を見ることができました。民主化運動本部主催の講演には国会議員も含め多くの人が集まり、先日来日した金英順さんと姜哲煥さん、安赫さんが耀徳収容所について証言をしました。質疑応答では韓国の人たちが、おそらく政府の対北朝鮮政策に対する考え方をめぐって、論争を始めるひとこまもありました。

 ワシントンで北朝鮮人権法の通過に向けてアメリカ政府に働きかけてこられたショルテ氏は、経済人会館でも講演をされ、ここにも黄ジャンヨプ氏、安明進氏をはじめ多くの脱北者、関係者があつまりました。

◇◆◇ ショルテ氏の講演より ◇◆◇

☆元共産圏のポーランドやチェコなどは、今一番積極的な人権擁護国となっていますが、韓国も同様に人権問題に取り組むべきです。そのためには政治家に北の問題についてよく知ってもらい、すべての党がともに取り組むよう促さなければなりません。それがこの展示会の目的です。統一されたら、この議事堂に南北の人たちがあつまることを願っています。

☆北朝鮮問題への取り組みには、巨大な悪と戦うという難しさがあります。その中で国際社会が今なすべきことは、北朝鮮に人権問題についての対話を促すこと、そのためのロードマップを北に示すこと、中国にも送還をやめるためのロードマップを示すことです。また、アメリカ国務省にも、もっと人権問題に取り組むよう要請すべきです。特に、難民キャンプのための予算や脱北者への予算化を急ぐよう促さなければなりません。

 アメリカ国務省の予算は、助成団体が限られるかもしれませんし、しばらくは下りないようです。しかし、私たちと同様に、待つのではなくビジョンを持って祈り、ねばり強く活動を続けてください。みなさんに今すぐできることとして、脱北者団体への寄付があります。

☆アメリカの人権法案は、次の三つの大きな影響力をもたらしました。
1.即時的な影響力→ブッシュ政府と国務省を動かす力になり、脱北者の受け入れが具体化した

2.短期的な見通しの影響力→特別大使や特別な会議が具体化され、人権問題について活動が始められ、地域的枠組みについての話し合いが具体化されてきた

3.長期的な見通しの影響力→予算化について
☆難民施設の建設について、国務省は問題の解決にならないと反対、アメリカ議会は建設に賛成していますが、私は、難民が安心していられる場所を作ることが大切だと考えています。その場所は、地理的には中国が最良の選択肢ですが、非人道的なのでモンゴルに期待しており、実際に、直接見て検討もしています。アメリカはモンゴルに支援し、働きかけられるのではないでしょうか。韓国など外国の人たちも、モンゴル大使館に直接アピールし、モンゴルに代表を送って説得してほしいと思います。私たちももちろんですが、継続してやり続けることは、大きな力になるのです。

◇◆◇ 講演後に ◇◆◇

・年配の在カナダ韓国人の人権活動家より
「金大中氏も盧武鉉氏も、人権問題について一言も言いません。平和維持に邪魔だと思っているからです。けれども、人権問題の解決なくして、和解はありえません」

・ある脱北者より
「北京オリンピックに向けて中国に圧力をかけるため、アメリカがなにかできないでしょうか? 韓国には今、労働党がいるみたいですが、韓国ではどう訴えていったらよいのでしょう?」

・ショルテ氏より
「なによりも脱北者自身が人権問題の生き証人です。議員一人一人に直接会いに行き、ロビー活動をして訴えてください。オリンピックについては、中国に訴えるよりも、オリンピック委員会に方針変更を訴えるべきです。中国はモラルを無視していますから、オリンピック委員会のホームページの中で訴えましょう。また、北京と競った第二の都市に、4年後のオリンピックに再立候補するよう促すのもひとつの方法ではないでしょうか」

◇□◇ ソウルでの感想    ◇□◇

 ソウルの政治・経済の中枢を会場にしたことで、多くの政治家や要人が見えられるといった成果もあり、内容も意義深い展示会でした。また、ショルテさんの力強さに、私も励まされました。黄ジャンヨプさんは少しお疲れの様子でしたが、ぜひ早く来日してくださればと思いました。

 また、韓国の方々は韓国政府が北の収容所や人権問題について多くの情報を持っているにもかかわらず、それを知らなさすぎると感じました。韓国の議員たちに訴えることの重要性が話題になりましたが、NGOや個人も、韓国の人、そして世界の人に訴えていくことが大切で、そのためには政府の情報公開を待つ必要はないと思います。

 韓国の友人からは、ブッシュ大統領の再選により北朝鮮が本気で攻めてきたら…と心配している人も多いと聞きました。国や社会の指導的立場の大人が本気で戦争を心配し、それを若い人に伝えるため、怯えている人も少なからずいるようです…。有事によって外国からの投資が減る心配は理解できます。しかし、経済援助で武器を作ったり、強制収容所を運営したり、また韓国資本の工場で自己批判を伴う強制的な労働が行われているとしたら、はたして朝鮮半島の平和は本当に守られるのでしょうか?

 東アジアの現状、またアメリカなどの政策 (ホークさんは、アメリカは北を攻撃する予定はなく、イラクの次はイランやシリア問題に乗り出すだろうとおっしゃっていました)について、韓国でももっと知ってもらい、不安を払拭できれば、人権問題への取り組みももっと高まるのではないでしょうか。

 韓国の若い友達に、今人気がある政党についてたずねたら、ウリ党の人気は前よりは下がり、若い人は最近(韓国の)民主労働党に関心を持っているという答えが返ってきました。その人はこうした傾向をあまり歓迎していないようでしたが、共産主義の理想と現実を、韓国の若い人が知る機会も必要だと思います。

 一方で、今韓国では、国家保安法の廃止や公務員の教科書が主体思想と似ていると言う議論、主体思想を教える北の公式ホームページの廃止を巡る議論などがあり、北朝鮮に対して強い態度で臨むべきだと考える人も沢山いるようです。北がどういう国か、若い人や子供に教えておくべきだという社説もありました。

 このような点を考えると、私たちも草の根レベルで、韓国の方たちと情報を交換しあい、力を合わせていくことの大切さを、あらためて感じました。

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北朝鮮人権法」の早期制定に向けて

〜 守る会と北朝鮮人権法案 〜

民主党は1月21日、「北朝鮮人権侵害救済法案」(仮称)をまとめました。自民党も同様の法案を検討しており、両党間で摺り合わせを行い、早ければ今国会中にも成立する可能性があると伝えられています。

守る会はこの動きを歓迎し、尽力している議員の方々に感謝するとともに、さらなる推進のため全力を尽くしていきたいと願っています。

◆制定に向けての背景

 守る会は、以前から脱北者支援などのための法律制定を希望していたが、今回のこの動きの背景には「拉致被害者救出のためには法律を制定し、経済制裁を含む厳しい措置を取る必要があるのでは」という市民の声の高まりがあった。

 米国が「朝鮮民主主義人民共和国における自由と人権擁護ほか」を目的とした「2004年北朝鮮人権法」を制定したことで、日本でもこのような法律が作れないのかという気運がさらに高まり、拉致問題で言を左右し逃げ回っていた北朝鮮が、横田めぐみさんの遺骨といって寄越したのがニセモノだったことが判明した時点で、事態は法律制定に向けて決定的となった。

◆民主党案作成へのかかわり

  日本でも北朝鮮人権法を作るしかない−、そのために民主党民主党は昨年11月12日、関係市民団体から最初の本格的なヒアリングを行なった。当会のほか、救援基金、民団脱北者支援センター、弁護士の会、日本財団等が出席したが、守る会は次のような提案を出し、これに沿って以下の4点を中心に意見を述べた。

北朝鮮人権法案に盛って欲しい事(守る会より提出)

@ 北朝鮮に対し、強制収容所を始め、著しく人権を抑圧し、在日朝鮮人帰国者および日本人配偶者を傷つけてきた施設の撤去を求め、この問題に関する国際人権査察を受け入れることを求める。

A 日本が、元在日朝鮮人と日本人配偶者の内、脱北して再び日本に戻る事を希望する者およびその家族を、在留資格を与えて受け入れる事。このようにして日本に戻って来た者の内、日本国籍取得を希望する者に対しては、優先的にこれを与える事。

B 彼らに対して再定住支援措置を講ずる事。ここで再定住支援措置とは、支度金支給、一定期間の住居提供、日本における生活能力および労働能力習得支援、日本語習得支援、就職斡旋、就職して自立するまでの期間の生活支援、以上を執行し相談相手となるスタッフを置く等の事を指す。

被拉致者、特定失踪者、在日朝鮮人帰国者およびその配偶者で行方不明の者の安否調査を行うため、調査機関を設置する。(この項はヒアリング終了後に追加)

◆蛮勇をふるって法案を作る

 この日、日本財団の出席者から「かつて日本がベトナム難民を受け入れた時に使った一時入所施設が品川にそっくり残っていて、職員の態勢もそっくりそのまま残っている」という指摘があったのが印象的だった。

 ヒアリングを終えた中川正春議員は「それでは蛮勇を奮って法案を作ってみるか」と発言し、私たち出席者は期待をふくらませたが、そのときはこれほど迅速に事が進むとは思わなかった。民主党の関係議員はその後、衆議院法制局との間で、法案提出に向けて迅速に詰めの作業を行った。

◆法案提出に向けての調整と努力

 日本では、法制局と詰めた上でなければ、国会に法案を提出できない。法制局では「米国は『朝鮮民主主義人民共和国における自由と人権擁護他』を目的に『2004年北朝鮮人権法』を作ったが、日本では外国のことについて直接的な法律を作るのは風土に合わず、強制収容所など北朝鮮の人権侵害廃絶に直接言及する法律の制定は難しい」という。

 したがって、北朝鮮の人権状況を調査して国会に報告し、またそれを改善する国際社会の取組みにわが国が積極的に関与するという書き方しかなさそうであった。こうした調整を受けて、民主党からはその都度「この部分は法制局で通らなかったが、こういう形ではどうか」といった問合せが頻繁に来て、当会もそれに呼応して意見を述べてきた。

◆民主党法案の骨子

 年が明けた1月20日、民主党の最後のヒアリングが、前述の団体に救う会を加えて行われた。市民団体や法制局とのやりとりの中で練られた案が示されたが、その骨子は大きく四つであった。

1. 拉致問題の調査について

 →内閣府に調査機関を設置して、拉致という北朝鮮の国家的人権侵害行為と被害の全容について調査し、国会に報告する。

2. 脱北者支援について

 →在外公館が脱北者の受け入れをはかる事、その際民間の団体とも協力・支援する事、日本において定着支援策を講じる事などを定めている。

3. 北朝鮮に対する支援について

→北朝鮮の人権状況を勘案して支援を行なうかどうかを決め、実施状況を監視して適切でない場合は中止することを定めている。

4. 北朝鮮における人権状況の改善のための努力

→元本邦在住者や日本人配偶者の置かれている状況並びに北朝鮮における人権状況の把握に努め、国際社会の取組みに主体的・積極的に寄与する

 これに対して、出席の市民団体から、さらに意見が述べられた。

 守る会からは、北朝鮮に帰国して行方不明になった元在日朝鮮人と配偶者について、安否調査を行なうことを「4.」項に明記すべきであるとの意見が出された。

 救う会からは、拉致について調査するだけでなく救出するための活動を入れてほしい、また「半年をめどに解決する」といった具体的期限を入れるべきであるという意見が出された。

 日本財団からは、「脱北者を北朝鮮難民と認定し」という文言を入れることによって入管の法律の対応が変わる可能性が高く、そうすべきであるという意見が出された。

 各団体からの意見を受けた民主党は、ヒアリングの翌日にはこれらの意見を盛りこむことを党として了承し、民主党案として決定された。

 北朝鮮の人権問題に関しては、国会でもテーマとなり、自民党も法案提出のための作業を進めていると伝えられている。一刻も早い人権状況改善のために、2党間の摺り合わせが順調に行って、今国会中にもこの趣旨の法律が制定されることを強く願うとともに、そのために行動していきたい。

 

2005年2月、ソウルにて「北朝鮮の人権と難民に関する第6回国際会議」が開催されます。

  3日間に渡る会議は、普遍的なものから最新のテーマに至るまで、さらに今後私たち市民や学生がどう考えていくかについて守る会をはじめ日・韓の人権NGO、人権問題に取り組む各国機関、ジャーナリストなどが、また脱北者の人権をめぐる状況について、有益かつ具体的な討論がなされる見込みです。


画像をクリックすると、日程が表示されます。

  一日目   二日目

 

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北朝鮮人権法案を読む

事務局長 三浦 小太郎

※ 本稿は雑誌 「中国事情 ―民族問題研究― 第2号」 に掲載されたものを一部修正しました。

■北朝鮮人権法の成立

 2003年10月19日、 ブッシュ大統領の署名により、 アメリカで 「北朝鮮人権法案」 が成立した。 今後のアメリカの対北朝鮮戦略については、 私達は様々な情報やその折々の政治的な駆け引きに幻惑される事無く、 まずこの法案の精神がアメリカの 「国家意志」 の根本をなすものとして考えるべきである。

 まず、 本法案は明確に北朝鮮金正日体制を、 「独裁国家であり、 膨大な件数の深刻極まる人権侵害を繰り返し行なっている。」 と認定し、 現実的には 「各地の収容所、 統制地区に、 推定約二十万人の政治犯罪者達を収容しており、 国家安全保衛部、 強制労働、 暴力行為、 拷問、 処刑等を行うことにより統制し」 「収容者達は輸出品製造のための強制労働に使われ、 武道武術の練習台にされ、 また化学生物兵器用の毒薬の実験台として扱われ」 ていることを明記している。

 さらに 「北朝鮮国内における飢餓への危機感、 迫害の脅威、 自由と希望の欠如から大多数 (推定数十万人) の北朝鮮人民が祖国を捨て、 主に中国へと逃亡」 している事、 つまり脱北者が単なる経済難民ではなく明確に独裁体制の抑圧による 「政治難民」 である事を指摘している。
  また、 脱北女性の悲劇も 「中国へ逃亡した北朝鮮の婦女子達は中国国内での誘拐、 人身売買、 性的目的に利用される危機にさらされ」 「多くはそこで妾、 嫁として売買され、 または売春婦として働くことを強要させられている。」 と明記された。 これはまさに人身売買や誘拐等々、 現在世界的に問題になっている犯罪の典型が中朝国境で行われている事実がアメリカ政府により認識された事である。

 その上で、 「中国・北朝鮮両政府は、 許可無く中国国内に滞在する北朝鮮人の居場所を突き止め、 北朝鮮へ強制送還」 しており、 脱北者は 「送還後は通常、 投獄・拷問が待ち受け」 「場合によっては極刑に処され」 る危機に陥っている。
  これは中国政府の完全な難民条約違反であり、 同政府が 「1951年国連の難民の地位に関する条約」 及び 「1967年国連の難民の地位に関する議定書」 において定義された義務の履行を怠っていると批判される。
  さらに、 「2000年1月、 中国国内で米国の永住権を持ち、 北朝鮮難民支援者であった金東植牧師は北朝鮮工作員によって拘束され、 彼の現在の所在や状態は不明のままである。」 事が指摘され、 中国政府が脱北者救援団体への不当逮捕を行っていることが示されている。 勿論日本人、 韓国人の拉致問題もここで重要な人権問題として指摘されている。

 

■閉鎖的独裁国家への情報流入と脱北者保護が法案の骨子   

 その上で、 本法案の目的は、 北朝鮮における基本的人権に対する尊重と保護の推進、 北朝鮮難民の窮状に対する、 より永続的な人道主義的解決策の推進、 北朝鮮国内において人道支援を行う上での監視、 アクセスおよび透明性の改善推進、 北朝鮮の国内外双方向への情報流の自由化推進、 民主主義体制の政府下における朝鮮半島の平和的統一の推進の5点とされる。
  北朝鮮現金正日政権の独裁・人権抑圧体制をアメリカは明確に承認しないこと、 その民主化を求める事がこの法案の骨子である事は疑いを得ない。 しかし、 では具体的に本法案はどのような手段で北朝鮮の人権改善を実現する方針なのだろうか。

 本法案が示す方策は以下の通りである。

 第1には、 北朝鮮向けのラジオ放送を増やす、 つまり北朝鮮国内に海外の情報を伝え、 民衆の意識を変えてゆく。 具体的にはRadio Free Asia と Voice of Americaを含む1日12時間の放送を行うなど、 「情報自由化推進施策」 策がまず挙げられる。 「北朝鮮国外から受信可能なラジオ等の情報源をも含む」 つまり、 小型ラジオの北朝鮮への流入の促進など、 東欧社会主義圏の崩壊を導いたような 「西側の情報流入」 が第1の手段としてあげられる。

 第2には、 国連諸機関 (国連人権委員会等) の権限が強調され、 さらに6カ国協議を指す 「地域的枠組みの構築」 が指摘される。
  しかし同時に、 アメリカがあくまで独自の政策としても北朝鮮問題に取り組む姿勢は、 アメリカによる 「北朝鮮人権特命全権公使」 が国務省により任命されることが法案で定義されている点で明らかだ。
 
その特使は、 北朝鮮当局者との人権に関する対話、 北朝鮮における人権と政治的自由の推進に努める国際的な取組みを支援する。 これには米国と国連、 欧州共同体、 北朝鮮および北東アジア諸国との対話と調和を図ることも含む。
  北朝鮮の人権に取組むNGOとの意見交換。 アメリカによる財政支援対象となる団体の推薦。 技術教育や交流プログラムを含む北朝鮮人権擁護改善プランの見直し。 国連人権委員会決議の実施など、 対北朝鮮問題の根本的な役割を果たす責務が与えられている。

 この特使に誰が任命されるかがアメリカの対北方針の大きなカギになるだろう。 一説によれば、 これまで対北朝鮮人権問題で世界各国の市民団体を支援してきたアメリカの著名な活動家がこの地位につく可能性が示唆されており、 もしもそれが実現すれば、 対北朝鮮の人権改善要求は極めて激しいものになる。

 本法案は、 最後に再び脱北者問題に一項をもうけ、 そこでは脱北者の保護を国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR) との協力の下中国国内で積極的に行う事が強調されている。

  具体的には、 「脱北者が国連難民高等弁務官事務所の職員との有効な接触を持つこと」 が保証されなければならない。 実際、 これまで中国政府は脱北者を難民としては認めず、 不法入国者として逮捕してきた。

  UNHCRはこの処置に対し、 これまで全くの無力さを明らかにしており、 今回の法案はアメリカ政府が中国とUNHCRの 「仲介者」 として、 UNHCRが 「難民保護任務を効率的に遂行する」 ことを推進すること、 そのためには 「中国国内の北朝鮮難民の中から人道支援活動に十分経験を持つ者」 や 「中国国内の北朝鮮難民への人道支援提供の実績を持つ適任の非営利団体と自由に契約を結ぶ」 こと、 「 『保護最優先』 の方針を採る多国間協定の締結達成に努力する」 ことなどをUNHCRが積極的に取り組むことを求めている。

  さらに、 仮に中国政府が難民保護に転じた場合は 「米国を含む全ての国々および関連国際機関は中国国内における人道支援レベルをよりいっそう高め、 北朝鮮難民の存続滞在に関連する費用負担に協力」 つまり中国への資金援助も惜しまないことが述べられている。

 北朝鮮人権法案が脱北者救援と北朝鮮への情報流入を骨子としていることがお分かりになられたと思う。 では、 この法案に見られるアメリカの対北朝鮮政策をどう見るべきだろうか?

■対北朝鮮軍事攻撃は可能性が薄い

 まず、 一部で囁かれているような、 アメリカによる近い時期の軍事的対北朝鮮先制攻撃は、 少なくとも本法案を見る限り殆どその可能性はありえない。 もしも北朝鮮が公開核実験などの極端な挑発的軍事行動に出た場合はこの限りではないが (おそらくその場合は真っ先に動くのは中国政府である)
 
 アメリカがまず対北朝鮮政策を武力行使ではなく東欧型の亡命者誘発による崩壊路線をまず主軸にしたと見るべきだ。 この方針は時間も必要であり、 何よりも中国の協力が必要となる。 中国の脱北者への姿勢変更と、 UNHCRによる脱北者保護が強調されているのはこのためであり、 これは本法案が、 国連を無視してでも早急な民主化と独裁政権打倒を目指した、 一部ネオコン主導の 『イラク自由化法案』 とは本質的に異なる事を意味している。

 アメリカが中東の民主化と、 イスラエル・パレスチナ問題の解決 (パレスチナ独立による平和共存) を、 現在最も重要な外交課題としていることは明らかであり、 北朝鮮問題はあくまで第2義的な重要性に留まる。

  その限りで、 中国との決定的な対決の危険性がある対北武力先制攻撃の可能性はそもそも薄かった。 そして、 ここでの国連重視姿勢には明らかにイラク戦争後の混乱に関するアメリカの反省が見られ、 ネオコン路線がアジアにおいては前面に出ないよう修正されていることが読み取れる。
  逆に、 国連及び、 各国の脱北者支援NGO、 そして、 脱北者自身による救援活動 (これは決して非現実的なものではない。 現実に中朝国境ではNGOの案内人や連絡係などで救援活動を行っている脱北者が数多く存在する) への支援が強調されているのは、 まさに 『平和的な北朝鮮人権改善』 の可能性を追求する姿勢の現れである。

 現在、 中米間でどのような対話がなされているのかはいまだ明らかではなく、 現時点 (12月末) の情報によれば、 中国の脱北者取締りは強化されこそすれ弱まってはいない。 しかし同時に、 北京市内などの様々な場所で再び脱北者の駆け込み亡命が続出していることも事実である。
  この点でも、 ブッシュ第2期政権が正式に発足し、 停止中の6カ国協議が開催、 もしくは頓挫いずれかの結果が出る来年度2、 3月に大きな情勢の転機が見られる可能性がある。 その意味でも繰り返すようだが、 現場での脱北者問題や北朝鮮人権問題への取り組みに責任を持つ 「北朝鮮人権特命全権公使」 が誰になるかが注目される。

■経済制裁という 『鞭』  脱北者支援という 『飴』

 ここ日本では、 拉致問題に対する北朝鮮の余りにも非人道的な態度に対し国民の怒りは再び高まりつつある。 横田めぐみさんの遺骨と称し、 何ら関係ない別人の遺骨を渡してくるなどの行為は、 まさにかの国のテロ国家・工作員国家としての性格をそのまま反映したものだ。 対北朝鮮経済制裁は、 日本国が抗議の意志を示すために当然の行為である。
  しかし、 同時にアメリカと連携しての対北朝鮮包囲網を確実なものとするためには、 日本政府自身が脱北者救援に対し一歩踏み込んだ政策を提示する事が是非とも必要である。 経済制裁という独裁政権への 『鞭』 は、 脱北者救援という、 北朝鮮の抑圧された民衆への 『飴』 と同時に行われてこそ、 このアメリカの方針にもかない、 積極的な支持を得ることも出来るだろう。

 現在、 自民党、 民主党などで討議されつつある、 日本版 『北朝鮮人権法案』 にも脱北者保護が盛り込まれることが期待される。 脱北者保護とは、 日本国が大量難民を受け入れるなどの極論ではない。 脱北者が、 中国にさえ逃げてくれば、 UNHCRによる正当な保護を受けられる環境を整備することで充分なのだ。 彼らの多くは韓国亡命を希望している (既に韓国内に親族が亡命している人も多い)。 国外での自由な政治活動を求める者や、 政府高官やその親族、 またアメリカに親族のコリアンがいる人々は米国への政治亡命を希望するものも、 少数ではあるが見られるだろう。 彼らに関してはアメリカは受け入れる姿勢を法案内で示している。

 そして、 日本入国を希望する可能性があるのは、 脱北者のうち、 1959年以降、 朝鮮総連を中心にした 『北朝鮮は地上の楽園である』 という宣伝に騙されて、 帰国事業で北朝鮮に渡った在日コリアン並びに日本人配偶者、 もしくはその子孫の場合が殆どだ。

 現実に、 ここ日本には既に数十人の、 このような 「帰国者」 達が救援団体の援けや自力で入国を果たしている。 現在、 朝鮮総連が有している財産は不当に在日コリアンから強奪したもので、 本来ならば、 全てが没収されて彼ら帰国者達の日本生活支援に使われてしかるべきものである。 特に、 『3年たてば里帰りが出来る』 と騙され、 多くが日本に帰りたい、 返してくれという声を挙げただけで抹殺され、 生き残った人々は今も望郷の念に駆られている日本人妻達の悲劇を思う時、 小泉首相が第2回訪朝帰国後総連に御礼のメッセージを送ったことは、 人道的にも、 歴史的にも許し難い行為なのだ。

■日本の武器は

対中ODA停止と北京オリンピックボイコット

 テロ・拉致・飢餓の全体主義国家北朝鮮の体制の存続を今後も許すことがあってはならないが、 その改革はあくまで平和的、 漸進的な、 犠牲を最小限に留めんとするものでなくてはならない。 そのためには、 脱北者救援の体制をアメリカと連携して中国国内での確保、 同時に北朝鮮国内に、 脱北もしくは国内での内部改革を呼びかけるためにも多数の情報を流入することにより、 この全体主義体制を大きく揺さぶること、 可能ならば一気に人権状況の改善と民主化に導く事をまず試みるべきである。 現在太陽政策という思考停止に陥りつつある韓国政府もまた、 脱北者救援と言う目的に反対する事は出来ないはずだ。

 日本はこの目的のために、 中国の姿勢を変えさせるための大きな切り札を二つ有している。 一つはよく言われる対中ODA削減もしくは停止である。 しかし、 さらに有効な武器はもう一つある。 それは2008年の北京オリンピックボイコットを中国政府にちらつかせることだ。

「中国政府が、 これ以上我が日本国民を拉致した北朝鮮政府を側面から支持し、 拉致問題を6カ国協議で取り上げることに消極姿勢を示し、 かつ、 本来わが国の国民でもある日本人妻を含む脱北者を不当に弾圧し続けるのならば、 日本国政府は北京オリンピックをボイコットする可能性がある」 この一言を発するだけでも、 おそらく中国政府にはかなりの影響をもたらす筈である。 昨年のサッカー競技場での反日暴動一歩手前の暴挙に対し、 北京では、 中国政府は4万人以上の警官を動員しても防止しようとした。 北京オリンピック開催資格が問われる事を恐れたからである。

 日本国が、 対北朝鮮経済制裁、 脱北者支援、 そして中国政府に対して、 北京オリンピックボイコットという3つの外交的武器を作動する時、 おそらく戦後初めて日本国は大々的にアジアの外交舞台に踊り出ることになるだろう。 日本国は今、 平和的な独裁政権打倒と、 日本国のアジア人権外交におけるリーダーシップ確立という二つの大きな好機を得ているのだ。 この好機を逃す時、 北朝鮮問題は中国とアメリカのパワーゲームの中でのみ処理されてしまうだろう。 最早時間はない。 家族の一日も早い帰国を待つ拉致被害者家族にとってだけではない、 日本国にも、 余り多くの時間は残されていないかもしれないのだ。

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守る会関東支部学習会の
お知らせ

北朝鮮人権・難民問題国際会議報告会

 下記の予定にて、 守る会関東支部学習会として、 今号カルメギにも紹介いたしました北朝鮮人権・難民問題国際会議の報告会を行います。 北朝鮮人権問題を巡る国際的な連携がますます重要になってきた今、 世界はどのように取り組んでいくべきなのかを考えて行きたいと思います。

講師:小川晴久名誉代表、 依藤朝子守る会国際部日時:2月20日 (日) 午後2時より
場所:星陵会館4階会議室
  (千代田区永田町2−16−2 電話 3581−5650)参加費;500円

 

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北朝鮮の経済構造と
飢餓輸出

編 集 部

以下、 「北朝鮮Q&A」 亜紀書房 からの引用です。

Q:北朝鮮の経済構造はどうなっているのでしょうか?

A:北朝鮮の経済構造は、 近代国家の中でも、 きわめて特異なものです。 普通国家の経済構造は、 第一次・第二次・第三次産業が、 相互依存・関連して一国経済を成立させます。 しかし、 北朝鮮ではこうした産業部門間連関が欠落し、 独自な横割構造が上下に積み重なる不思議な仕組みになっています。

特異な三段階横割り上下経済

「第一経済」 が、 政務院管轄の一般経済部門で、 経済計画の遂行と民生に責任を負っています。 道管轄の地方産業工場もこれに含まれます。 政務院には、 十五の委員会、 十九の部や銀行・商社などが所属します。 (九三年現在)。 部は日本の各省に当り、 委員会は傘下各部を統括する大きなものです。 これら各部・委員会や各道は、 それぞれ物資を自己調達する必要に迫られ、 独自の貿易商社を持っています。 また、 この政府各省を指導する党第一経済部各セクションがありますから、 二重の極めて巨大な官僚機構になります。 また各道・市・郡には 「行政・経済指導委員会」 が設置されています。

「第二経済」 が軍事経済部門で、 政務院の上位に立つ大規模な 「第二経済委員会 (国防委傘下)」 に管轄されています。 この部門は、 独自の銀行 (龍岳山・金剛銀行など) と商社 (龍岳山・烽火など) を備えて、 人民軍の装備や兵站を賄うとともに、 電力・石炭・鉄鋼・機械など基幹産業要部門の中枢企業を独占しています。 兵器関係の輸出入もこの部門が取り仕切るため、 北朝鮮経済の大半を占めるといわれています。

「第三経済」 は、 「党経済」 とも呼ばれ、 金父子一家と、 高級特権幹部 (党・軍・政) の経済です。 これを取りしきるのは、 「三九号室」 という非公式の機関です。 工場・企業所・事業所・農場などに九号 (金父子用)、 八号 (特権幹部用) 物資を特別生産させる職場や圃場を設置し、 最上の原料・資材・労働力を投入した特上品を生産させています。 これ以外にも 「一号物資」 という金父子が独占して自由に動かせる物資があり、 外国人賓客接待用や人民・功労者への贈物・勲章などに使われます。 この部門も、 独自の銀行 (大聖銀行、 金星銀行 (在ウィーン)) や商社を直轄し、 外交官が密輸などで入手した外貨を吸い上げるなど独自な経済活動を営みます。

 以上のうち、 第二〜第三経済が経済の優先部分を占めているので、 第一経済が圧迫されています。 特に九〇年代のように、 社会主義陣営の崩壊により経済全体が縮小傾向に陥ると、 そのシワヨセがすべて第一経済にきて、 真先に民生関係が犠牲にされます。 六〇年代以後の経済計画が相次いで失敗し、 政務院総理がその度に更迭されたのも、 第二・第三経済優先のためで、 最近伝えられる人民生活の窮乏・飢餓状態もその結果です。

膨張する闇経済 ― 「第四経済」

 人民も必死に生きるために、 闇経済が蔓延します。 この闇経済を 「第四経済」 と呼ぶこともできましょう。 最近では、 闇経済が人民生活の八〇%を賄うに至ったともいわれます。 この闇経済の源資はどこから来るのでしょうか。 第一は中国からの流入物資、 第二は日本からの流入する物資、 第三は国内での横領・横流し物資です。 中国 (特に延辺朝鮮族自治州) からは、 親族訪問者や闇商人が食料品・日用品を運び込みます。 日本からは、 帰国者親族への送金・物資と、 短期訪問団の携帯する金と物資、 朝総連系商工人たちが献納した愛国工場・商店や合弁企業を通じて流入する物資があります。 第三の官庁・軍隊・工場・商店の保有物資の横領・着服・横流しも日常化・大量化しています。 九〇年代に入ると、 勤労者・兵士たちも、 職場・部隊の物資を持ち出して食料や日用品に換えることが当然化しました。 窃盗・強盗やワイロ現象も日常化して、 全国の行政と経済を底辺から侵食してきました。 社会が底辺から腐敗・麻痺し始めるとともに、 金父子の権威も失墜しつつあります。

  北朝鮮の特異経済構造

   

         ※ %数字は筆者の推定概算

  (以下、 三浦注釈)

 上記文章は1993年に北朝鮮研究者によって記されたものですが、 現在はさらにこの傾向は加速されているものと思われます。

 まず、 闇経済 (第4経済) の成長と、 逆に第1経済 (政府による民生部門の計画経済) の縮小。 北朝鮮では現在、 各人の 「自由経済」 が認められ、 つまり各国民が生活は自らの力で切り開くことが要求されています。 しかし、 この傾向は 「改革開放」 どころか、 農業、 工業共に復興の見通しのない中で単に民衆を見捨て、 軍、 党幹部、 秘密警察など特権層・忠誠階層に直接影響する、 上記の 「第2・第3経済」 だけを守るものでした。 現在、 脱北者から伝えられる北朝鮮国内のハイパーインフレの実態は、 RENK代表 李英和氏の伝える所では下記のような情勢です。

 

 北朝鮮における米の値段の推移

 2003年7月1日

 この時期金正日が経済の自由化、 改革を発表する

 米1キログラムはこの時点で40ウオン

    9月     180ウオン

 2004年1月   300ウオン

    3月末    400ウオン

    7月     500ウオン

    8月初めから 700から900ウオン

    9月    1400ウオン

 まさに、 ハイパーインフレと言う言葉では収まらない数字だ (トウモロコシの値段は約この半分)。 値段が上がる理由は、 単に物が足りないからではない。 国際的な支援物資は党幹部 (秘密警察などを含む)、 軍、 政権幹部にしか配られず、 その余剰が自由市場に流れる。 直接庶民の手に届く事はない。 さらに通貨が乱発され、 物価が上がれば上がるほどさらに乱発を繰り返すと李代表は言う。 殆ど悪循環と言うより、 「生産」 が農業も工業も再生不可能になった国と国民の悲劇である。 (RENK東京サイトより引用)

 

 北朝鮮への経済制裁がどの程度効果があるかについては色々と議論のあるところですが、 ここでは様々な数字上の議論は専門家ではない私は控え、 最低限の原則論を述べておこうと思います。

 私見では、 第2経済及び第3経済にあたる対日貿易 (軍事用製品の輸入、 食料品貿易による対日輸出:これがよく言われるアサリとかズワイガニ、 労働党幹部用のぜいたく品の輸入など) をストップさせる事は、 北朝鮮に対してわが国のテロ武装も労働党による民衆搾取も許さないという意志を伝えるためには効果のある事例ではないかと考えます。
   国際社会に対しても、 拉致被害者の救出と同時に、 このような日本との対北貿易が、 現北朝鮮独裁体制によって悪用され、 民衆ではなく労働党幹部の忠誠をつなぎとめる事と武装強化に繋がっている以上、 停止する事が平和と人権改善への道であるという、 日本政府の堂々とした声明が必要ではないかと思います。

 多くの論者が指摘するように、 北朝鮮の船が採集している魚介類は、 本来は飢餓状態にある国民の口に入るべきものです。 ある脱北者にお聴きしました所、 北朝鮮に帰国してから40年、 配給で魚貝類が出たことは一度もないという返事が返ってきました (魚貝類は市場などで買う)。
  これはまさに飢餓輸出というべきものです。 北朝鮮の漁業労働者が採取した魚介類は、 厳しい寒さの中、 靴も持たずにさまようコッチェビ (浮浪孤児) の命を救うためにこそ使われるべきものであり、 独裁政権の外貨稼ぎに使われてはならない筈です。

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2・22世界統一行動 世界各国の市民団体が、 各国中国大使館前にて脱北者保護を訴える

編 集 部

 去る12月22日 (水)、 日韓米欧のNGOの呼びかけで、 世界各地の中国公館前において北朝鮮難民強制送還に抗議する世界一斉デモが繰り広げられた。 守る会は北朝鮮難民救援基金、 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 (救う会) 他有志とともに東京の中国大使館前で抗議行動に参加した。

「守る会」 小川晴久名誉代表、 「救う会」 西岡力副会長、 「家族会」 増元照明事務局次長、 「北朝鮮難民救援基金」 加藤博事務局長が、 脱北者の強制送還の停止を求めてそれぞれの立場からアピールをおこなった。
  最後に、 参加者が順繰りに、 現在の所中国政府が不当拘束している脱北者、 北朝鮮に強制送還された脱北者、 また救援活動中に不当逮捕されて無実の罪で自由を奪われている良心の囚人達のうち、 現在姓名が確認されている160名の氏名が、 各自の年齢と共に読みあげられた。

 現在中朝国境をさまよっている脱北者は数万とも10万を超えるとも言われているが、 彼ら一人一人が、 それぞれの人生を生き抜こうとしている掛け替えのない人間である。 彼らを 「脱北者=不法滞在者」 として逮捕、 強制送還している中国政府の処置は許しがたいものであり、 夫婦、 幼い子どもを含む彼らの名前を知る限り読みあげたことは、 人権運動が抽象的な個別の理念や政治的立場の問題ではなく、 あくまで目前の一人の命を救うためのものである事を再確認する事にも繋がったと思う。

 抗議集会の最後に、 抗議声明文を中国大使館に投函しようとしたが、 あくまで大使館側は拒否。 ついには昼日中と言うのにシャッターを下ろしてしまった。 このことは、 逆に私達の抗議にそれだけの効果があったと見做すべきであろう。 この抗議行動は、 大阪、 ソウル、 アメリカ各地、 英国、 カナダ、 チェコスロヴァキヤなど世界的な広がりを持ったものであり、 北朝鮮人権問題の国際的な連携を示すものとなった。

 守る会の対中国政府宛の要請文は下記の通り。

中国政府は脱北者を保護し、 独裁政権の側ではなく、自由と人権を支持する世界の世論の側に立ってください   

 本日12月22日、 午前11時、各国の脱北者を支援する市民団体が、 それぞれの国の中国大使館に対し、迫り来る寒さと雪の中苦境に耐えている脱北者(北朝鮮難民)を難民条約の精神に基づいて保護し、第3国への出国を希望するものにはその希望をかなえると共に、UNHCR北京による正当な保護を受けるよう取り扱うことを訴えます。
  さらに、現在中国政府が行っている、脱北者の不当逮捕、強制送還、中国獄中での暴行、救援市民団体活動家への不当逮捕などを直ちに停止し、現在獄中にある活動家を即時釈放することを要請いたします。

 中国は今現在、改革開放政策により経済発展を遂げようとしており、国際社会の一員として大きな存在価値を示そうとしております。
  しかし、国際社会の享有すべき基準の一つは、個人の自由と人権の擁護です。北朝鮮政府は国民の国内外への自由な移動すら認めていない国家であり、同時に失政による飢餓や国内での強制収容所に象徴される人権抑圧によって国民の基本的人権を侵害しております。
  このような国家から自らの生命を守るために脱北してきた北朝鮮難民はUNHCRによって難民として認定され保護されるべき存在であり、難民条約を批准する中国政府が彼らを強制送還している事は中国の国家的名誉と国際社会における地位を大いに傷つけるものとなりつつあります。

 中国政府が2008年の北京オリンピックの成功と、今後とも国際社会において名誉ある地位を占めることを希望されるのであれば、 直ちに以下の処置を行ってください。

1. 脱北者の逮捕と強制送還、支援団体への不当逮捕を即時停止し、現在獄中にある支援活動家を釈放してください

2. UNHCRと共同にて脱北者を保護し、難民としての正当な取り扱いを行い、第3国への出国を希望する脱北者に対しては速やかにその希望に応じてください。私たちは、以上の趣旨に賛同する方々が、12月22日午前11時、東京の中国大使館前に結集し、中国政府に対し抗議と要請の声を挙げてくださる事を呼びかけます。

北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会 
代表 山田 文明 

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書評 「金正日 隠された戦争」 萩原 遼 著 (文芸春秋)   (三浦小太郎)

 本書は90年代の北朝鮮を襲った飢餓地獄が、 金正日の失政による 「人災」 ではなく、 明確な独裁政権による 「国民に対する戦争=虐殺」 であった事、また、 金日成の死が、 金正日が自らの失脚を恐れての 「殺人」 であったことを明確に提示した衝撃作だ。

  北朝鮮という全体主義国家が、他国だけではなく、国内の民衆を最も敵と見做し、自国民中忠誠度の低い 「敵対階層」 を常に敵と見做して抑圧を加えてきたことは周知の事実ではあるが、ソ連、東欧の民主化(もしかしたら私は中国の天安門事件も多少の影響を与えているのではと考える)を目の当たりにした金正日は、いつか自らに抗して立ち上がる可能性のある自国民の「抹殺」 を図ろうとしたのである。「隠された戦争」とは、 まさに独裁者による自国民との「内戦」 である。

 萩原氏によれば、 「敵対階層」 は国民の約20%、 これは北朝鮮の人口が2200万人とすれば約440万人となる。 300万と推定される餓死はまさに彼らを標的としたものであった。

  これは食糧配給そのものを 「武器」 とする独裁政権の民衆虐殺であり、 敵対階層と言う 「まつろわぬもの」 への徹底的な 「民族浄化」 だ。 ユーゴのミロシェヴィッチどころか、 都市にすむものやインテリは全て敵と見做して虐殺したポルポト政権を思わせる残虐行為である。 このことは、 北朝鮮が逆に言えば建国以来、 ひたすら国民と独裁政権との 「戦争状態」 が続いており、 この時にその 「内戦」 が勃発したものとみなすことが出来る。 しかし、 武器も自由も全て奪われた民衆にできたことは、 ただ脱北によって自らの生命を守る事だけだった。 金正日のこの行為は戦争犯罪以外の何者でもない。

 本書を読んでいて何度も思い出されたのは、 かって守る会が招請して講演会を行ったチョン・ギヘ氏の言葉である。
  同氏は何度も、 北朝鮮の最悪の人権侵害と恐怖支配の構造は食糧配給制度にあると強調していた。 反抗すれば食糧が断たれて餓死する、 この恐怖は最も帰国者を初めとする民衆の精神を麻痺させてきた、 反抗する力は殆ど奪われてきたというのだ。 そして配給停止による虐殺は、 「敵対階層」 へのまさしくとどめの役割を果たしたのだ。

 私は最近、 ある脱北者のお話を聞かせていただいた。 帰国者と北朝鮮で生まれた人の間には中々信頼関係を結ぶのは難しかったが、 唯一深い交流ができた人は敵対階層、 成分が悪いと言われた人であったという。 帰国者もまた、 北朝鮮では資本主義社会から来た、 自由の価値を知る敵対階層に属する。 朝鮮総連と金日成の組織的詐欺宣伝によって北朝鮮に 「拉致」 されたに等しい帰国者、 日本人妻は、 さらに残虐な独裁者金正日によって虐殺されたのである。

 さらに、 本書ではその金日成の死の謎に迫る。 金日成が息子と激しい意見対立を来たし、 その結果暗殺されたのではないか、 という推測はこれまでも在日コリアンの一部で囁かれてきたが、 本書は金日成と金正日が、 今後の北朝鮮外交や内政を巡って、 私たちの予想よりも遥かに激しい対立関係に陥っていた事を浮き彫りにしている。
  そして、 著者の言う 「運命の日」 1994年の7月7日前後に何が起きたのかを分析する著者の緊張感溢れる文章は、 現代史の謎に挑むノンフィクション作家としての真骨頂を示すものである。
  本書第3章の抑制された、 しかも緊張感と著者の怒りとが文体の裏側に鋭い刃のように秘められた緊張感溢れる文章は、 著者の文章家としての一つの頂点を思わせる。 この部分は、 是非本書を直接当たられたい。

 全体的には、 まさに悪しき全体主義国家の醜い権力抗争、 民衆虐殺の実態を見せ付けられるような著書である。 しかし同時に、 第6章239ページに紹介されている、 脱北女性が松尾和子の 「再会」 を歌うシーン、 また終章263ページに綴られる韓国の優れた学者、 故李命英氏と萩原氏が語り合う間島パルチザンの歌への思いなどは、 あらゆる抑圧を乗り越えて人間性を失うまいとする民衆の心が抒情詩のように奏でられている。
  萩原氏の著書に常に感じられるのは、 死者の悲しみを超えて風に乗って聴こえてくるかのような、 自由と人間への愛情溢れる歌声である。

 

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韓国・北朝鮮・中国が
“脱北者抑圧連帯”を構成するのか

(朝鮮日報12月24日社説)

 中国内の脱北者 (北朝鮮を脱出した住民) を保護しようとする国際社会の声が徐々に行動に移りつつある。 ソウルをはじめとする6か国10都市で脱北者の強制送還に反対する人権団体のデモが22日、 各地の中国大使館と領事館の前で行われた。

 韓国、 日本、 タイ、 モンゴルの議員11人は数日前、 北朝鮮難民の定着村の設置を求める 「ソウル宣言文」 を発表した。 しかし北朝鮮住民の脱北と韓国行きを抑制しようとする試みも北朝鮮、 中国、 そして韓国政府を中心にさらに具体化している。

 脱北者問題に対処する異なる2つの気流がこのように絡まり合っているのは、 十分に懸念すべきことだ。 米国は北朝鮮人権法の制定により、 脱北者支援を国家政策として掲げている。 北朝鮮に拉致された日本人の問題で北朝鮮に対する国民的な怒りが最高潮に達している日本も、 米国と同じような内容の北朝鮮人権法の制定を進めている。 ヨーロッパでも脱北者の問題に対する関心が拡大している。 国際社会のこのような動きに、 中国は脱北者の北送で対応している。

 このような時であるほど、 韓国政府は問題解決のために積極的な役割を担い、 率先して動くべきだ。 しかし政府は企画脱北やブローカーの取り締まり、 定着金の縮小、 脱北者に対する入国審査強化などを通じ、 事実上脱北者の韓国行きにブレーキをかけるという方針を明らかにした。 韓国政府、 それも民族と自主を掲げるのが好きな政権がこのような状態ではいけない。 (中略)

 脱北者を抑圧しようとする 「韓国・北朝鮮・中国連帯」 は、 人道主義や国際社会の流れから見て、 決して成功することはできず、 また成功するように放置しておいてはならない。 脱北者問題が北核以上の国際的難題になる前に、 政府は重大な決断を準備しなければならない。

【記者手帳】
 「脱北斡旋ブローカー」 を
取り締まる政府

(12月24日朝鮮日報記事)

▲イ・ジンドン探査報道チーム
記者 jaydlee@chosun.com  
 脱北者ブフン君一行の 「中国脱出」 を密着取材した26日間で、 今月17日早朝の出来事は忘れることができない。 東南アジア国家との国境まで残り100キロメートルとなった地点で、 息子 (ブフン君) が人民解放軍に連れ去られ、 乗ってきたバスが出発した時、 ブフン君のお母さんが見せた放心状態は脳裏に焼き付いている。

 お母さんは体をかがめるように座り、 ひざに頭をあて、 3〜4時間にわたり声を殺して泣き続けた。 (中略)

  「そこまでしながら韓国に来ようとするのはなぜか」 という疑問も湧く。

 しかし、 脱北者 (北朝鮮を脱出した住民) が 「生きるために脱出した」 と証言するのを聞けば、 その質問がいかに取るに足らないものであるかを悟るようになる。 「生きるためには韓国に向かうほかない」 というのが彼らの言葉なのだ。

 この瞬間も、 ブフン君一行のように韓国の国境を渡ろうとする脱北者が命懸けで中国をさまっている。

 北朝鮮社会が変わらない限り、 どれだけ高い障壁を作っても、 どれだけ取り締まりを強化しても、 生きるための身もだえは止められない。

 ところが、 韓国政府は23日、 「ブローカーによる脱北斡旋が中国の取り締まりの強化を招き、 純粋な脱北者を危険にさらしている」 とし、 「脱北斡旋の取り締まり対策」 を発表した。

 脱北者を 「商売の道具」 として使うブローカーに問題があるのは事実だが、 政府の対策は本末が転倒している。 ブローカーの手を握ってでも韓国に入りたいのが、 脱北者の切なる思いなのだ。

「自発的な脱北」 か、 「企画された脱北」 かを問うこと自体が卓上の空論に過ぎない。

「北朝鮮に向かえば命の保障のないことは目に見えており、 中国でもいまだに追われている。 韓国以外のどこに行けというのか」 というブフン君のお母さんの絶叫に、 韓国政府は耳を傾けるべきではないか。

 

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編集後記

 守る会はこの3月13日大阪、 20日東京で、 それぞれ大きな集会を開催する予定です。

 今回は、 北朝鮮を逃れ、 ここ日本に定住している脱北者、 日本人配偶者の方々に是非とも証言者として語っていただきたいと考えております。 勿論、 北朝鮮にご家族を残しておられることでもあり、 中々困難が伴う事ではありますが、 北朝鮮人権法案がアメリカだけではなく日本でも成立が期待される中、 当事者のかたがたが声を挙げる事によって、 北朝鮮の人権改善を広く国民世論にも国際社会にも訴えていけることと考えます。 仔細が決まり次第報告して行きますので、 ご参加をよろしくお願いします。 (三浦)

発行:北朝鮮帰国者の生命いのちと人権を守る会