声明
2002年9月19日
多数を死亡させた権力犯罪の真相解明こそ課題
一日朝首脳会談の結果について一
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
2002年9月17日、小泉首相は北朝鮮を訪問し、金正日総書記と会談した。この会談に際し、私たち北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会は次の3点を要請した。
1、1959年以降北朝鮮に帰国した在日朝鮮人等帰国者の自由往来の実現が、日朝間の人権・人道問題であることを金正日総書記に強く訴えて下さい。
2、帰国者、日本人妻のうち、行方不明になっている方々の調査と結果報告を直ちに行うよう、金正日総書記に要請して下さい。また、政治犯その他の理由で逮捕された全ての帰国者の名簿を発表するとともに、冤罪の可能性の有無を客観的に評価できるよう、その裁判記録を遺家族に公開することを要請して下さい。
3、拉致された日本人、ならびに韓国人などの被害者の完全解放を即時行うことを、被害国の首相として金正日総書記に断固として要請して下さい。
これら3点の要請に対し、1帰国者の自由往来と2帰国者、日本人妻の行方不明者および逮捕された人たちに関する調査については、まったく触れられることもなく終わった。
3については、はじめて金正日政権が公式に拉致を認め、安否を伝えてきたが、その内容は日本政府が認定した11人にその他の3名を加えた14名のうち8名が死亡し、1名は不明、生存しているのは5名に過ぎないという極めて残酷なものであり、家族の願いと期待を大きく裏切るものであった。8名の死亡についても、私たちは額面通りに受けとることはできない。
死亡したといわれる8名が現在も生存しているなら、その年齢はそれぞれ38歳,42歳,44歳,46歳,48歳,48歳,65歳,77歳であり、大半の人は死亡するにはあまりにも若く、死亡が事実であるならば、金正日政権の手で殺害された可能性を考えざるを得ない。
この事態に際して、まず被拉致生存者およびその家族と日本の家族の面会を早急に実現するとともに、原状回復が実現されねばならない。
同時に、すべての被拉致者について、拉致の経緯と実行犯、北朝鮮における被拉致者の境遇と生活の歩みが、また死亡したといわれる人たちについては、死亡にいたる事情と死因が一刻も早く正確に明らかにされねばならない。また、それらの人たちの実情を知る北朝鮮の人たちに面会し、直接話を聞く機会が家族と日本政府に与えられねばならない。
北朝鮮に拉致された韓国の映画監督と女優の夫妻申相玉氏と崔銀姫氏は、その著書『闇からの谺』で金正日の直接の指示で拉致され、北朝鮮では金正日の出迎えをうけたこと、そして金正日の映画造りに協力させられたことを語っている。
今回、元工作員金賢姫の教育係「李恩恵」としてはじめて世に知られることになった田口八重子さんの拉致を認めたことは、大韓航空機爆破が金正日政権のテロであったことを間接的に認めたものである。
このような重大テロ行為は、金正日が直接命令する以外に実行できないことは北朝鮮の政治の常識である。
かずかずの重大犯罪を実行しておきながら「部下がやったことで、自分は知らなかった」という金正日の態度は卑怯極まりないものである。
今回の日朝会談にあたって、被拉致者多数の死亡という重大な事実に接しながら、死亡に至る経過と日時、場所、死因などを聞き出して明確にすることもなく、拉致被害者の多数が取り返しのつかない事態になっていることを知らされただけで「拉致問題の進展」と見なし、金正日政権を支える資金提供を含む平壌宣言に署名したことは、小泉首相の大きな失態である。今後の国交正常化交渉のなかで問題を協議するというが、このような姿勢は「求められている課題を小出しにして時問を稼ぎ、硬軟表裏使い分けて交渉し、その間に取り込めるだけの利益を取り込む」というこれまでの金正日政権の外交戦術にはまり込むだけである。
私たちはあらためて以下のことを日本政府に要請する。
1、被拉致生存者とその家族について日本の家族の面会、ならびに原状回復を早急に実現すること。
2、すべての被拉致者について、拉致の経緯と実行犯、北朝鮮における被拉致者の境遇と生活の歩みを、そして死亡したといわれる人たちについては、死亡にいたる事情と死因を一刻も早く正確に明らかにすること。
3、死亡したといわれる人たちの実情を知る北朝鮮のひとたちに家族が面会し、直接話を聞く機会を設け、日本政府としても直接面接調査を実施すること。
4、今回判明しなかった1名の安否と、この他に拉致被害者がいる可能性を徹底的に調査し、消息と安否の確認を進めること。
5、拉致犯罪の最高責任者は金正日であるが、まず辛光洙など拉致実行犯の引渡しを金正日政権に求め、必ず実現すること。
6、わが国社会にとって重大な人権問題である北朝鮮帰国者のわが国への自由往来を早急に実現すること。
7、帰国者、日本人妻のうち、行方不明になっている人たちの調査とその結果の報告を直ちに行うよう、金正日政権に要請し、政治犯その他の理由で逮捕された全ての帰国者の名簿を発表するとともに、冤罪の可能性の有無を客観的に評価できるよう、その裁判記録を遺家族に公開することを求めること。
8、北朝鮮脱出者が日本へ亡命することを希望すれば受け入れることを明確に表明し・受け入れ後の体制を早急に整備すること。
9、中国に脱出した北朝鮮難民を保護することを、韓国政府とも連携して中国政府に強く働きかけ、必要な具体的処置を実行すること。
10、上記1〜7までが実現しない限り、金正日政権への経済的支援や国交の正常化は絶対に行なわないこと。
最後に、北朝鮮にかかわる重大な人権問題に、これまで一貫して関心が低く・対応が遅れた日本政府(特に外務省)と各政党、政治家(熱心に努力し続けてこられた少数の政治家を除く)に対し、政治を担当するものとして、また一人の人間として、猛省することを求めたい。さらに、これまで交渉にあたってきた日本赤十字社に対しても、事実を解明できなかった経過を反省し、今後の朝鮮赤十字社との交渉にあたっては強い姿勢で実効ある協議を進めるよう求めたい。
以上
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
名誉代表小川晴久、金民柱、萩原遼
代表山田文明
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