■ 安明進、西岡力の衆院拉致特委意見陳述要旨
本日7月28日午前9時半から開始した国会衆議院「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」で、亡命工作員・安明進氏と救う会常任副会長西岡力が参考人として意見陳述した。以下は冒頭に行われた2人の意見陳述要旨です。
安明進国会衆議院拉致問題特別委員会意見陳述要旨
本日、このように私を日本の国会に招聘してくださり、我が民族と人類共同の敵であり悪魔である金正日の反人倫的蛮行を告発し、証言できる機会をくださった日本の国会衆議院拉致特別委員会に感謝申し上げます。
証言に先立ち私の紹介からいたします。
私は1968年8月26日北朝鮮黄海北道シンゲ郡で生まれ、元山と沙里院外国語学院で8年間外国語を学んだ後、1987年3月5日から1993年5月20日まで平壌市内の東北方向の外郭にあるスパイ養成機関、朝鮮労働党130連絡所(公開的には朝鮮人民軍695軍部隊、非公開には当時の朝鮮労働党中央委員会直属政治学校、今の金正日政治軍事大学)を卒業し、1993年5月21日から対南工作機関である朝鮮労働党715連絡所3方向3組に任命され、1993年8月30日対南工作のための前方偵察任務を遂行中に9月4日大韓民国に亡命しました。
私は大韓民国に亡命した後、1997年から横田めぐみを金正日政治軍事大学で目撃した内容と北朝鮮情報機関の日本人拉致と日本での各種工作について絶えることなく証言してきました。
本日この席を借りて私が1988年10月から1991年初旬まで当時の朝鮮労働党中央委員会直属政治学校、今の金正日政治軍事大学などで目撃した日本人について再び証言いたします。
当時学校にいた日本人たちとしては横田めぐみさん、市川修一さん、増元るみ子さん、蓮池薫さん、田中実さん、朝鮮語がへただった独特の容貌を持つ北海道から拉致された男性、加藤久美子さん、そのほか男性教官2人、女性教官2人の合計11人で
あって、工作員たちの専門病院である朝鮮労働党915連絡所で目撃した古川了子さん、学校で訓練装備を持って出入りしていた寺越武志、そして放送局爆破訓練場で見たもう一人の日本人女性と、北朝鮮が1986年に死亡といった田口八重子さんも1991年まで確実に生きていたという直接的な情報を持っており、全部合わせてで15人です。
私が目撃したり生きているという直接的情報を持っている15人の拉致被害者の中で、現在北朝鮮は横田さんら5人しか認めず、日本政府も田中さんを加えて6人しか認めていないことは残念です。
寺越武志、古川了子、加藤久美子さんは救う会が拉致として認定していますが、日本政府はまだ拉致と認定していません。
北朝鮮にいてお母さんが何回も北朝鮮で寺越さんに会ったにもかかわらず、日本政府はなぜ彼を拉致だと認めないのか、古川了子と加藤久美子さんも明らかに北朝鮮にいる拉致被害者なのにそれとして認定されていないことが残念です。
日本人拉致はいま日本では北朝鮮の犯罪として認められていますが、少なくとも金正日政治軍事大学では工作員たちの自慢の種になっています。
特に寺越武志とその叔父さんたちを拉致した金正日政治軍事大学の航海講座の副講座長、呉グホは自分の口から1960年代、日本の能登半島に侵入し仕方なく彼らを拉致して、そのうち一人が自分たちの強盗のような要求に応じなかったとしてその場で射殺したという内容まで自慢げに話していたことが記憶に生々しいです。
実際、私自身も証言するため能登半島の現地を訪問したことがありますが、そこは本当に呉グホ副講座長が話したことと一致する場所でした。
工作員が自分がしなかった拉致をしたと話す理由もありませんが、現場も一致することを見て、私は呉グホ教官の話が間違いないと確信しています。
これら拉致された日本人は学校で海外工作員たちの日本人化教育に利用される日本語教官として勤務しており、彼らの居住地も当時は私たち学生たちが10号洞と呼ぶ工作地区内の統制施設でした。
北朝鮮労働党情報機関である3号庁舎は彼ら拉致された日本人たちを外部に公開せず秘密に付すため、彼らの子弟は幼稚園に通うときまで統制施設内部から通わせ、初等教育を受けはじめるときから父母と遠く離れた他地域の学校に通わせ、休みの期間に父母と一緒にいるときには彼らに言葉に慎重なるよう強調する期間にしました。
結局、長い間北朝鮮の日本人拉致が全く存在しない事実として外部に公開されず、拉致された日本人たちはその存在さえも確認することができませんでした。
犯罪者の罪過は長続きしないという人類普遍的な真理があるように、金正日の犯罪は1987年11月大韓航空機爆破事件以後、同じ学校の卒業生である金賢姫先輩によって田口八重子さんの存在が初めて明らかになり、その後私の亡命とともにほかの日本人拉致被害者たちの存在が世の中に知らされました。
けれども、当時は日本の大多数の国民たちはもちろん、日本政府の高位官吏たちさえも私の話に否定的であり、その上北朝鮮政府もまた私自身を北朝鮮にいもしない韓国政府がでっち上げ日本の反動が作り上げた人物として決めつけ、私はうそをつきまくる偽物の人物としてみなされていました。
そのような中でも救う会佐藤勝巳会長とここにいらっしゃる西岡先生、そして横田ご両親をはじめとする拉致被害者家族たちが私を信じてくださり絶えることなく運動を展開した結果、自分の民族300万人を飢え死にさせても謝罪一言もなかった悪魔金正日に認めさせ謝らせるにいたりました。
けれども、日本政府と国民を代表する日本の総理と日本政府代表団の前で謝るという席でさえ金正日は拉致の本当の命令者とその実行犯について率直に認めず、いまこの瞬間までもうそを貫き、日本政府と国民を愚弄しています。
金正日が貫き通しているうその中の一つは、1991年まで私が直接話しもしタバコまで分け合って吸ったことがある市川修一さんが1979年に死亡したという内容とやはり私が1990年頃まで目撃した増元るみ子さんが1981年に死んだということです。
また田中実さん、加藤久美子さんなど拉致された日本人と金正日政治軍事大学に出入りしていた寺越武志さん、そして工作員の専門病院である朝鮮労働党915病院で目撃した古川了子さんと放送局爆破訓練場で目撃したもう一人の日本人女性など10人の日本人をしていません。
田口八重子さんはやはり私たちの学校の先輩である金賢姫が韓国で1991年当時、赦免を受け手記を出版するという時期まで確実に生きていたという事実は、金賢姫に射撃を教えた金正日政治軍事大学射撃講座の咸教官から私だけでなく私の25期同期全部がいっしょに聞いた内容です。
私はもちろん北朝鮮にいたときこれらの日本人たちの名前は一つも知りませんでしたが、彼らの顔と特徴などはいまこの瞬間もはっきりと記憶しています。
私が目撃した日本人たちが拉致された日本人の全部ではないことは、学校の教官たちと先輩たちを通じてもよく知ることができ、その数は30余名にもなると聞きました。いまこの瞬間にも彼ら拉致された日本人たちは自分の父母と日本政府と国民を信じて自分たちが救い出されるその日だけを待ちわびているのです。
彼ら拉致された日本人を救い出さなければならない日本がいまむしろ、北朝鮮工作機関が決心さえすればもっと多くの日本人を拉致し日本に敵対行為をすることができるように、工作資金と数多くの工作装備まで供給してやっている現実です。
ここにいらっしゃる国会議員の方々とこれを見守っている全ての日本人たちが北朝鮮によって拉致された日本人被害者たちを自分の息子、娘、弟として、本当の肉親と考え、彼らを悪魔の巣窟から助け出すという強い意志を持ち、その悪魔金正日と戦う固い覚悟で臨まなければ、けっしてこの戦いは簡単ではないのです。
その戦いがまだ弱いために、北朝鮮政府は対日工作機関である清津連絡所を完全に解体させず、いまでも存在しており、続けて日本工作をするために以前のような工作船ではない新しい工作船を運営しようとしており、いま新しい工作船基地を構築しています。
悪魔との戦いは、いま日本が持っているもっとも強力な手段である経済制裁で金正日の首を絞めることだと私は確信し、わずかな動揺もない経済制裁が加えられるとき金正日はついに日本国民と国家を恐れ日本に対して真摯な姿勢になると確信します。
日本の対北経済制裁は金正日政権の脅威になるのであって、金正日政権が1日でも早く終わり殺人独裁がない人間らしい世の中で暮らすことを希望している北朝鮮の2千300万住民の大きな望みでもあります。
ありがとうございます。以上
西岡力(救う会常任副会長)衆議院拉致特別委員会意見陳述要旨
いまこの瞬間も多くの拉致被害者たちが北朝鮮で「いつ帰れるだろうか」と指折り数えて待っています。
1 金正日の二つのうそとの戦い
私たちは「めぐみさんたち死亡とされた8人は生きている」「金正日が認めた13人以外にも多くの拉致被害者がいる」というキャンペーンを行い、北朝鮮の説明の矛盾を指摘してきました。そのことは、本日の安明進証言でも明らかにされるものです。
日本政府は昨年12月24日、北朝鮮から提供された遺骨、死亡診断書、交通事故報告書等すべての「物証」が捏造と判明したことを受け、「北朝鮮側説明を裏付けるものは皆無である」「生存者は直ちに帰国させることが基本」という立場を明確にしました。
2 日本政府の制裁予告と、発動されない制裁
同じく政府は昨年12月24日「北朝鮮側の迅速かつ誠意ある対応をしない場合、日本政府として、厳しい対応をとらざるを得ない」(細田官房長官)と制裁を予告しました。
ところが北朝鮮は日本側が遺骨鑑定を捏造しているなどという言語道断の開き直りをつづけて日本との対話を拒絶し、核武装を公言し核実験の準備さえしています。
誰が見ても「迅速かつ誠意ある対応」はなされていません。それなのに、小泉首相は制裁発動を決断していません。
3 制裁発動の意味
制裁発動は、拉致被害者全員を取り戻すという国家意思を示すことです。それを躊躇していると、拉致問題を重視していないという大変危険なメッセージが発せられてしまいます。
日本が拉致を理由に単独制裁を発動すれば、金正日に日本の不退転の決意が明確に伝わり、担当者は間違いなく替えられます。これこそがチャンスで、ここで初めて「8人死亡、2人未入境」というシナリオを書いた人間とは別人物が担当者になり、被害者を帰すことを考える可能性が生まれます。
制裁は韓国・中国へメッセージにもなります。日本が拉致を理由に単独制裁をかけるならば、韓国・中国は拉致問題が完全に解決しない限り資金を提供しないという日本の断固たる姿勢を理解し、金正日に対する説得のなかに、拉致問題で日本を納得させうる対応をするようにという注文もつけるようになるのです。
4 6者協議で拉致問題が進展しない理由
拉致問題は今まさに正念場を迎えています。中国、韓国、ロシアそしてアメリカまでが6者協議開催前の日本の単独制裁発動に反対しました。ということは、今開催中の6者協議で北朝鮮が核解決に肯定的態度をとれば、4カ国は北朝鮮に圧力をかけることに反対し続け、それに日本政府が引きずられいつまでも制裁発動はなされず拉致は事実上棚上げにされる、具体的には、核問題解決のために拉致問題が一切進展しないまま日本が経済的負担を求められるという最悪の構図さえありえます。
やはり天は自らを助けるものを助く、であります。6者協議で北朝鮮代表に、生存者帰国と辛光洙ら拉致実行犯引き渡しを強く迫り、それをしない場合には単独制裁を発動し、国連安保理事会などを通じた国際制裁も求めていく、という断固たる姿勢を示すしかないのです。また、普遍的人権という観点から、明確に韓国人拉致に言及して北朝鮮を非難すべきです。
昨日現在、佐々江局長は「核、ミサイル、拉致を解決して国交正常化する」としかいわず、北朝鮮非難も制裁予告も一切していません。拉致問題が棚上げになる危険性が高まっています。細田官房長官は7月15日、「日本は『安否が分からない拉致被害者は、みんな生存しているはずだから帰すべきであり、それ以外にも拉致された人がいるのではないか』と強く交渉しており、6者協議の場を借りて、さらに強く主張するのは当然だ」と話しています。
佐々江局長は官房長官が明らかにした政府の方針に従わないのでしょうか。あるいは、官房長官の発言は単なるリップサービスで政府の方針ではないのでしょうか。このままだと、日本国は拉致問題を軽視しているという危険なメッセージが発信されてしまうと、不安でなりません。
5 ブッシュ政権と拉致問題
米国議会下院本会議は7月11日、北朝鮮による日本人、韓国人の拉致および被害者を「拘束し続けていること」を非難し、米政府に対して、解決に向けたしかるべき対応を取るよう求めた決議を圧倒的な賛成多数で採択しました。同決議は、「北朝鮮の核問題の解決はきわめて重要であるが、しかしそのことで、北朝鮮政権との今後のいかなる交渉においても、米政府当局者が、拉致問題および他の重大な人権問題を持ち出せないようなことがあってはならない」と核問題解決のために拉致問題を棚上げにしてはならない明確に述べています。また、日本政府がまだ拉致認定をしていない寺越事件について明確に拉致と断定しています。
特に、韓国人拉致をも棚上げしてはならないと言い切っている点は重要です。
ブッシュ大統領は盧武鉉大統領と会った三日後の六月一三日に北朝鮮の政治犯収容所における人権侵害を全世界に告発しつづけている脱北者姜哲煥氏をホワイトハウスに招待して四〇分間親しく会談を行い、北朝鮮の人権問題に冷淡な韓国政府を批判しています。
日本が断固たる対応を取れば、かならずブッシュ政権、韓国の良識的保守派をはじめとする世界の自由と人権を尊重する大多数の支持を得られるのです。
ブッシュ政権は「金正日は悪だ」と明言しています。ところが、日本、韓国、中国、ロシアはすべて、その認識を表明していません。ブッシュ政権は孤立しているのです。
とくに、小泉首相は金正日テロ政権を直接的に非難せず、制裁を発動しません。
「日本人拉致問題の解決なくして、国交正常化はあり得ない。核、ミサイル問題を包括的に解決するという日朝平壌宣言の立場は変わらない。国交正常化してから経済協力だ」としか言わないのです。金正日政権に対して抗議したり、「悪」を糾弾したりしないのです。それどころか、田中均外務審議官は北朝鮮に対する外交戦略について「まず互いの共通利益を作り、そのうえで協議や交渉をし、国際関係を作って結果を出す」と語っています(朝日二〇〇三年五月二三日)。
テロとの戦争を戦うブッシュ大統領からすれば、テロ政権と共通利益をつくるなどという発想は、利敵行為そのものです。しかし、小泉首相は現在に至るまで、田中審議官のいうような朝鮮外交を続けています。同盟国であり、もっとも北朝鮮の脅威を受けている日本がそのような勢だから、アメリカも日本が対北単独制裁に踏み切ることに消極的反応を見せたのです。
6 国際制裁へのステップ、クゥートができたことが日本にできるのか 今回の6者協議が成果を上げなければ、国連の安保理事会で北朝鮮の核問題が議論されることは間違いないでしょう。日本は外交力を駆使し、その決議のなかに「日本人、韓国人拉致被害者を全員帰さない限り経済制裁をつづける」という文言を入れる必要があります。そこには当然「北朝鮮が核開発をやめない限り経済制裁をつづける」と書かれるだろうが、拉致問題を併記させることが重要なのです。
アメリカのイラク攻撃の根拠になった国連安保理決議1441号(2002年11月8日、中国ロシアも含む全会一致で成立)には「拉致」が入っています。「安保理はイラク政府がイラクによって不当に拘禁されたクウェート人や第三国国民を、送還あるいは消息確定に向け協力すべきとした(累次の)国連決議をないがしろにしてきたことを遺憾とする」と明確に書いてあります。クウェートができたことを日本ができるのか、国家としての日本の姿勢が問われています。そのためにはまず日本が単独で制裁をかけておくことが絶対不可欠です。
アメリカはリビアによる旅客機爆破テロに対してまず自国で制裁をかけ、その上で国連の安保理に持ち込み国際的な制裁をかけました。日本もまず一国で制裁をかけることです。自国でかけていなかったら、他国の協力は得られないです。
7 小泉首相に制裁発動を強く求めます。
すでに国会は制裁法を成立させており、衆参両院の拉致特委は制裁発動を決議し、拉致議連、自民、民主、公明3党の拉致対策本部も制裁発動を訴えています。
国民の大多数も制裁発動に賛成しており、その意思は500万を超える署名となって政府に提出されています。
家族会も、愛する肉親が北朝鮮で囚われている苦しい立場でありながら座り込みまでおこなって制裁発動を求めています。
改正外為・貿易管理法により北朝鮮への送金と貿易を全面的に停止していただきたい。特定船舶入港阻止法により万景峰号をはじめとするすべての北朝鮮船舶の入港禁止を行っていただきたい。
国家犯罪である拉致が解決していないのに、北朝鮮国会議員(最高人民会議代議員)である朝鮮総連最高幹部6人は日朝を自由往来しています。最高人民会議代議員である総連最高幹部6人、徐萬述(朝鮮総連中央本部議長)、許宗萬(朝鮮総連中央本部責任副議長)、梁守政(朝鮮総連中央本部副議長・在日本朝鮮人商工連合会会長)、金昭子(朝鮮総連中央本部副議長・在日本朝鮮民主女性同盟中央本部委員長)、朴喜徳(在日本朝鮮人商工連合会顧問)、張炳泰(朝鮮大学学長)への再入国許可を取り消してください。
また北朝鮮・総連への不公正な優遇措置の適正化を行っていただきたい。
様々な証拠や証言から拉致であることが間違いない寺越事件、小住健蔵さん、福留貴美子さん、安明進氏が北朝鮮で目撃したと証言している古川了子さん、加藤久美子さんなどの拉致認定を早急に実現して欲しいと考えています。
以上