以下の提言は、放送(平成15年6月20日 テレビ朝日)より採録したものです。守る会の見解ではありませんが、大変考慮に値すると判断し、参考としてここに掲載します。
元北朝鮮高官 黄長からの緊急提言
武力を行使せずに北朝鮮独裁体制を崩壊させる戦略
私の考えでは、武力を行使することなしに金正日独裁体制を崩すことが出来るし、早く解決することが出来ると考えています。
先ず人権問題を掲げて、世界的にこの独裁体制の罪禍を暴露する。そして正義・道徳的に打撃を与えて、世界的範囲で孤立させること、これが第一です。
北朝鮮独裁集団は、数年間で300万以上の住民を餓死させた。そして、多くの人々を直接間接に今もなお殺害している。独裁国家の大量殺戮兵器について懲罰の対象にするというのなら、実際に人権を蹂躙し、人民を大量殺戮している犯罪に対して、どうして懲罰しないのか。
最も重用なのは、一にも二にも先ず人権問題を広く宣伝するということ。つまり、9月11日にあったテロ攻撃の時は国籍と国境を越えて、反テロ戦争をするというアメリカ政府の声明に反対した人は一人もいません。だからそういう見地で、大儀名分を立てねばならない。核兵器を作っているとか、大量殺戮兵器を持っているとか、それを大義名分にしてはいけません。
核問題よりも人権問題が重要?
何百倍も、それ(人権問題)は重要ですよ。なぜ小さい国がそういうもの(核兵器)を持ってはいけないという根拠がどこにありますか。全く間違った考えですよ。小さい国であればあるほどもっともっと武装したほうがいいですよ。
だから、核問題じゃなくて、犯罪団体だ、テロ国際団体だ、犯罪団体は武装解除をしなければならない。こういう論理に立たなければならない。
各国の連携の強化を訴える
第二には、それ(人権問題)を大義名分にして、中国とロシアを説得して、北朝鮮との関係を断つように、北朝鮮との友好関係を断つようにする。つまり金正日が中国式の改革、解放をすることに我々は賛成だと。それ(改革解放)に反対する、独裁一点張りに行く、そういう政権と、なぜ親しく付き合っているのか、中国にもロシアにも、それは損害だと、そういう方向で中国・ロシアを説得し、その関係を断つ。
民主主義的な相互関係、平等と言うのが民主主義的な原則だから無償で援助はやらない。援助をするときもその透明性を明らかにしなければならない。こういうような原則で彼ら(金正日ら)に無償援助を与えないように。
経済援助は民主化の助けになるように、「自由な経済活動を保証する」と約束させる。それがわずかな自由だとしても、内部から崩壊させる助力になる。
究極の方策
内部崩壊の戦術ですね、それと関連して最も必要なのが脱北者問題。
脱北者問題で中国とかロシアとかそういう地方に脱北者の村を作って、脱北者が民主主義的な生活が出来るような条件を与えてそこにたくさんの援助物資を山積してそれを手段に国内に物資を送ってやる。
つまり北朝鮮の人民に物資を与える、絶対に金正日に与えるのではなく。
そうすれば、金正日が直接に管理している幹部はせいぜい200人、300人しかいないんです。そういう状態で、下層の大衆が動き始めたら、もう金正日は統制することが出来ません。
私の考えでは5年以内に解決できる。確固たる立場に立てば。しかし、その時にもし、金正日が挑発すればアメリカは徹底的に「よう懲」すべきだ。そういう考えをもってすれば、彼らには挑発できません。彼らには戦争をする能力が無い。
(注)「よう懲」(征伐して、懲りるようにさせること)
非常に臆病な金正日総書記は敗戦覚悟で戦争は起こさない。暴発を怖がっている彼らは戦争をしますか。北朝鮮の核兵器は何の役にも立ちません。
以下の文章はカルメギ50号よりのものです。重複して掲載します。北朝鮮現体制は平和的に崩壊させ得る
黄長「武力を使用せずに北韓独裁体制を崩壊させる戦略」
(抄録)
(翻訳 宋允復)
本稿は、月刊朝鮮に掲載された黄長論文の抄録である。現在の危機迫る北朝鮮情勢の中、黄氏のかねてからの主張である平和的な北朝鮮現政権の解体、民主的な平和統一路線の可能性が高まっていると論じられている。特に、北朝鮮を核問題ではなく、人権問題で追い詰めることこそが問題解決の本質であると強調する同氏の主張は、守る会としても大いに共感しうる論点である。(編集部)
人権擁護の旗幟を掲げ、金正日独裁集団の許し難い人権蹂躙の罪行を暴露糾弾し、北韓統治集団を政治道徳的に孤立させる事業に先ず力を注がなければならない。
一部の人たちは、大量殺傷兵器を所有しているか否かを独裁国家を懲らしめる名分の基準としているが、大量殺傷兵器そのものが悪いというよりも、それを民主主義に反対し人権蹂躙に悪用する独裁統治者たちが悪いのである。
万一、独裁国家が大量殺傷兵器を所有すれば、それを人権を蹂躙する悪い目的に利用し得る危険性があるので、懲罰の対象になるべきだとするならば、何故に、実際に人権を蹂躙し、人民を大量殺傷する独裁集団の犯罪については問題としないのか。
これはあたかも、殺人強盗に使用し得る銃器を持った者は危険分子だと処罰しながら、実際に殺人強盗を犯している現行犯には目をつぶってやるのと同様と見ることができる。
北韓独裁集団は、数年の間に
北韓統治者らは、北韓の地に社会主義、地上の楽園を建設したと宣伝してきたが、数百万住民を餓死させ、数十万の脱北者が生じたことで、それが真っ赤な嘘であることが白日の下に露わになった。
それにもかかわらず、彼らは引き続き強盛大国を建設すると騒ぎながら人民をだましている。この一つの事実だけを見ても、北韓統治者らの虚偽欺瞞宣伝がいかに想像を超越した破廉恥なものであるかを推し量ることができる。こうした状況で、北韓統治者集団の人権蹂躙蛮行を暴露し、“悪の枢軸”としての正体を明かすのが何より重要だということは、さらに言うまでもない。
北韓が改革開放の道に進むよう、国際社会の協力を強化しなければならない。
北韓を改革開放の道に誘導するためには、国際社会の協調協力が切実に必要である。
第一に重要なのは、北韓の同盟国である中国との協調を強化することである。中国との同盟は、北韓独裁集団の生命線と見ることができる。北韓との同盟は中国側には負担となっている。
中国が北韓との同盟関係を引き続き維持しているのは、金正日独裁政権が崩壊し、韓国主導で韓半島が統一された場合に、米国とその同盟国である日本と韓国の民主主義影響力が鴨緑江境界線にまで及ぶことになり、直接対峙するようになることを憂慮している事情と関わっている。万一、米国とその同盟国が中国のこうした疑惧心をなくしてくれるなら、北韓を改革開放に誘導する上で協調者とすることができるだろう。
万一、北韓が首領独裁体制を捨てて中国式改革開放に進むなら、韓半島で冷戦の残滓は中国的に清算され、北韓と米国、北韓と日本の関係が正常化されるであろうし、韓半島を中心とする列強の関係が全般的に全て正常化するであろう。これは何よりも中国の利益に合致すると見られる。
これはまた、韓国の利益に全的に符合する。北韓が中国式改革開放に進むとするなら、事実上首領独裁統治から北韓人民が解放されるということを意味し、南北間の民族統一を妨げる基本障害が除去され、南北間の全面的な協調協力の新局面が開けることを意味する。
第三に重要なのは、北韓内部の民主力量を支援し、北韓の民主化を推進させるための作戦を大々的に進めることである。
ここで脱北者たちの役割を高めるのが重要な戦略的意義を有する。北韓のような苛酷な独裁国家から厳重な警戒網を破って脱出するのは並大抵の困難ではない。
100人が脱北に成功したならば、北韓内には彼らと同じ状況で脱北を希望する人々が数千人いると見なければならない。また、脱北者たちが全て金正日独裁の不当性を思想的に自覚した人たちではないとしても、彼らが死線を越えて脱北する勇気を持った積極分子だという点を評価しなければならないだろう。
彼らは北韓独裁体制が反人民的であり非人間的であるということを骨身に沁みて体験しただけでなく、民主主義社会の幸福な生活も体験できた。したがって彼らは北韓を民主化するヒで先鋒的役割を充分に遂行できる。
当面して緊要な問題は、脱北者の人権を擁護する国際的世論を喚起させ、中国をして脱北者らに難民の地位を認定させ、脱北者を索出し北韓に強制送還するのを止めさせることである。
今後中国とロシアが北韓を改革開放に誘導し、北韓を民主化する上で積極的に協調することになれば、中国やロシアの地に脱北者村を立派に建設し、それを拠点として北韓を民主化する作戦を展開する必要がある。
これに関連して最も理想的な地域は、中国東北地方の延辺地区だと言い得る。延辺地区を中心に100万余の韓国人僑胞が集中して居住しており、彼らは北韓住民と深い繋がりを持っている。万一、米国の主導下で韓米日3国が協調し、この地域に現代的な工場、企業所と文化機関を多数建設し、全中国的にも最も発展した地域の一つに現代化した次に、脱北者たちを大々的に受け入れ、この地域を拠点として北韓を民主化するための作戦を繰り広げるなら、北韓で独裁体制を崩壊させる問題はほんの数年の内に完全に成功するだろうことを断言できる。
北韓で金正日独裁体制が除去され、改革開放へと進む政治体制が樹立されるのは、我が人民の民族的宿願を解決する上でのみならず、東北アジアの平和と民主化の偉業遂行において、偉大な歴史的勝利として記憶されるであろう。