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2003年3月28日
脱北日本人妻Bさんと娘さんの帰国に際して
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
1 今回の救出の特徴
今年1月、北朝鮮を脱出した日本人妻Bさん
とその娘さんが、今日無事に日本に戻ること
ができた。
今回の救出の特徴は二人を保護するため、日
本の現地領事館員が中国内の匿われていた所
まで出かけて保護したことにある。
中国側の警備が一段と強化されている現在、
脱北者が救出を求めて自分で大使館や領事館
まで行くことは、途中の検問で拘束される危
険が高く、困難になっている。また、大使館
や領事館の近くまで到達できたとしても、厳
重に警備されたその中に「駆け込む」ことは
さらに危険である。
このような情勢にあって、外務省現地職員が
隠れている所に出向いて保護し、無事救出で
きたことは、私たちが知る限り初めてであ
る。すでに中国国内に潜伏している日本人妻
や元在日脱北者についても、保護の要請があ
れば速やかに出向いて救出することを強く要
請する。今後、その必要性は急増することが
見込まれる。この課題に力を尽くすことは日
本政府の当然の権利であり、重要な責務であ
る。
2 人道問題に対する政府の責任
いかなる国籍、いかなる民族に属そうとも、
命の危険から逃れようとする人を差別なく保
護することは、世界のすべての政府と政治家
の使命であり、義務である。国籍・民族を問
わず、国内の罪なき人々の命と人権を守るこ
とは、その国の政府と政治家の基本的責務で
ある。 
そして、他国内にいる自国民ならびに自国民
に準じる人々を、身に迫る危機から保護し救
出することは、他国政府に堂々と主張できる
自国政府の権利であり、当該国政府はこれに
協力しなければならず、これを拒むことは人
道上許されない。そして国内の人権犯罪に対
し「内政干渉」を理由に諸外国からの批判を
かわすことは許されない。
3 脱北と脱北ビジネスの現状
北朝鮮住民は奴隷以下の食糧事情と強権支配
の下に置かれ、経済改革の失敗がもたらした
食糧価格の暴騰によって、新しい飢餓難民を
生み出している。「中国に出れば食べられ
る、韓国は豊かであり、日本に行ける可能性
もある」という「知識」も広範に知られるよ
うになり、一定額のお金を用意することがで
きれば中国に脱出することは難しいことでは
なくなっている。
中国への脱出には、一人当たり数千円から数
万円で脱出を手引きする「脱北ビジネスのネ
ットワーク」も成立している。さらに、韓国
に亡命するためには一人当たり数十万から1
00万円を支払って「脱北ビジネスのサービ
ス」を購入しなければならない。このような
サービスを利用して日本に入国した脱北者も
いる。
「脱北ビジネス」の担い手には文字通りピン
からキリまであり、時には同一人がピンにな
ったりキリになったりしているのが実情であ
る。女の場合は農村の嫁に売られる例が極め
て多い。男の場合も労働奴隷に売られたり、
公安に売られたり、不当な条件の仕事に従事
するしかない。最悪の場合は北朝鮮に送還さ
れ、拷問による死の危険に晒される。
それでも、死ぬ前に一度でも腹いっぱい食べ
るため、あるいは中国でお金を作り北朝鮮の
家族を救うため、あるいは身に迫った迫害を
逃れるため、あるいはまた「人間らしく生き
られる地があるならば、地の果てまでも探し
ていきたい」と考え、中国への脱出は続いて
いる。
ようやく脱出して来た中国が脱北者にとって
安全な地ではないことが、問題を一層凄惨な
ものにしている。中国政府が脱北者を匿った
者に高額の罰金を課し、賞金を付けて捜索
し、拘束し、北朝鮮に送還することで、脱北
者の生き残るための残された可能性を奪って
いるからである。
このために、脱北者は方法の如何を問わず金
を作り、信頼性に疑いのある「脱北ビジネ
ス」に頼って第三国へ脱出しなければならな
くなっている。
4 脱北者保護・救援の課題
今回の日本人妻Bさんの場合は、幸運にも理
解ある人に匿われるとともに、連絡を受けた
外務省が迅速に対応し、現地領事館員が保護
に向かったため、脱北後わずか一月で保護さ
れ、その後一月あまりで特別な費用を要する
ことなく日本に戻ることができた。
今回の日本政府外務省の対応と、日本政府の
要請を受け入れた中国政府の態度を高く評価
する。今後も例外なく、このような問題解決
法によって迅速に対応していくなら、脱北者
の人命と人権の救済は大きく前進することに
なる。
ただし問題は、日本政府のこのような対応の
対象となる脱北者が、現在は日本国籍者とそ
の家族に限定されていることである。
日本から北朝鮮に帰国したおよそ9万人の在
日コリアンの人たちは、1952年のサンフ
ランシスコ講和条約の発効までは日本国籍を
有した人たちであり、しかも本人の意思にか
かわりなく政府が日本国籍を取り去った人た
ちである。 
日本で産まれ育ち、日本を故郷とする人たち
も多く、家族・親族を日本に持つひとたちで
ある。また、日本に特別永住権を持つと判断
できる人たちである。 
超党派的な帰国運動で帰国協定を実現し、彼
らを説得して北朝鮮に帰してしまった経過に
加え、上記のような歴史的経緯と家族関係・
育ちの社会的実情を考慮すれば、元在日帰国
者は明らかに日本国民に準じる人たちであ
り、日本政府は日本国籍者と同等に保護・救
援すべき権利と義務を有している。
日本政府はこの立場を明確に表明し、中国政
府に伝え、理解を得て、元在日脱北者とその
家族についても、日本国籍者とその家族と同
等に保護しなければならない。
脱北者の実情に即して判断すれば、保護・救
援の要請を待って行動を起こすことは被害の
拡大を放置することであり、むしろ積極的な
捜索によって保護・救援すべき状況にある。
この場合、保護・救援の対象を日本国籍の脱
北者や元在日脱北者に限定することは、人道
の理念に反することである。 
したがって、保護・救援を要する脱北者を等
しく救うために韓国政府と共同してことに当
たる必要がある。そして、脱北者に日韓両国
の実情を十分に説明した上で、希望にしたが
って両国いずれいかに受け入れるべきであ
る。
日本あるいは韓国に入ることができた脱北者
は、新しい社会環境の中で定着に苦労しなが
ら、北朝鮮に残る家族・親族の身の安全を思
い、できれば脱出させて呼び寄せたいと願っ
ている。 
事実、少なくない人たちがお金を借りてでも
「脱北ビジネス」を利用して家族・親族を脱
出させようと行動を起こしている。脱北者に
よる脱北の手引きが「脱北ビジネス」をます
ます栄えさせているが、それ以外に頼るもの
がないのが実情である。「脱北ビジネス」
を栄えさせるのは、政治の無策の責任であ
り、金の有無にかかわらず救援を受け、日本
あるいは韓国に避難する道を整えねばならな
い。
ただし、脱北者がすべて韓国あるいは日本に
行くことを希望しているとは思えない。ま
た、社会環境の違いから、韓国あるいは日本
に行くことで、幸せになれるわけでもない厳
しい現実がある。北朝鮮に近く、同一民族の
住む中国延辺で安全に過ごすことができるな
ら、緊急避難先としてそこに留まることを希
望する脱北者も多いことであろうし、救援の
費用も高い効果をあげることができるはずで
ある。 
やがて北朝鮮が安全に暮らせる社会になった
とき、脱北者の多くは家族・親族・友人のい
る北朝鮮の故郷へ帰っていくと予想できる。
それまでの緊急避難先を確保することが焦眉
の急である。
5 中国政府の責任
この課題を実行するためには、中国政府の協
力が不可欠である。中国政府は脱北者が難民
である事実を直視し、北朝鮮政府の人権犯罪
の協力者であることをやめ、日韓両国政府と
協力して脱北者の保護に当たるべきである。
中国政府が金正日政権の人権犯罪に協力する
ことは、北朝鮮民衆と中国朝鮮族に対する敵
対行為に等しく、中国政府の今後に大きな禍
根を残すことになることに気づかねばならな
い。
脱北者の保護・救援が日韓両国にとって自国
民の保護・救援という不可避の課題であり、
同時に北東アジアの平和に緊要な問題である
ことを、日本政府は韓国政府と共同して中国
政府に説明し、説得することを求める。
中国政府が両国にとって重大なこの人道的課
題を今後も理解しようとしないなら、ODA
の削減、廃止、あるいはオリンピックへの不
参加など、世界の良識に訴えて行動を起こさ
ねばならない。
6 日本入国者への対策
すでに50名ほどの脱北者が戻っている日本
は、今後さらに増加することが予想される脱
北者を受け入れ、定着を支援する制度を早急
に整備する必要がある。
日本入国直後の対策としては、韓国のハナウ
ォンを参考に、定住支援のための実情調査と
日本の社会生活上の基本教育を実施する施設
を設置することを要請する。
その後の定着・定住促進のためには、以下の
諸施策を要請する。
1 公共住宅を斡旋すること
2 日本語教育を行なうこと(地元定時制中
学の活用)
3 技術・技能と資格取得を重視した職業訓
練を実施すること
4 脱北者を雇用する企業に社会保険に加入
することを条件に雇用奨励補助金を支給し、
雇用を促進する仕組みを作り、自立の条件を
培うこと
5 高齢者などには生活保護を適用すること
6 夜間中学を活用して中学卒業資格が取得
できるようにすること
7 夜間高校を活用して希望者が勉強を継続
できるようにすること
8 学齢期の児童・青年には就学補助金を支
給して支援すること
9 30代前半までの就学希望者には奨学金
を支給し、適当な就学先を斡旋すること
10 韓国への留学の道を用意すること
11 法律上の知識を持った市町村職員が日
常生活の相談にのること
12 脱北者のメンタルケアを担当できる専
門家を養成すること
13 職業訓練中は生活費を補助すること
以上
――――――――――――――
2003年3月28日
【日本人妻帰国までの経緯について】
       ジン・ネット
2003年
2月 5日(水)日本人妻が、中国の延吉市
から日本の親族(姉と弟)に電話をかけ、帰
国したいとの希望を伝える。しかし、「帰っ
てきても面倒を見られない」と言われ、親族
からの援助をあきらめる。
2月 7日(金)午後5時半、東京都港区の
「ジン・ネット」に、日本人妻から救援を要
請する電話がかかってくる。娘とともに、延
吉市の朝鮮族の家に匿われているという。ジ
ン・ネットは協力を約束、翌日から、現地時
間の夜7時に定時連絡を入れることにする。
2月10日(月)ジン・ネット代表が「北朝
鮮帰国者の生命と人権を守る会」(略称、守
る会)のメンバーに相談し、協力を要請。
2月11日(火)「守る会」メンバーが日本
人妻の姉に電話で連絡を取り、同日中に、姉
の自宅を訪問、姉と同居する母親に会って話
を聞く。親族は「守る会」に救援を依頼す
る。
2月12日(水)17日(月)に中国の日本
関連施設への脱北者の駆け込みがあるとの情
報がジン・ネットに入る。外務省に日本人妻
の保護を要請する日を18日(火)に決め
る。
2月13日(木)ジン・ネットが親族の許可
を得て一家の戸籍証明を取る。記載は、本
人が電話で語った家族関係と一致した。ま
た、日本の親族の一人、弟の自宅にジン・ネ
ットのスタッフが出向いて話を聞く。
 夜、ジン・ネット代表と「守る会」代表が
打ち合わせ。事態を円滑に進めるため、事前
に外務省に相談することに決める。
2月14日(金)午前10時すぎ、「守る
会」代表が外務省を訪問。外務省の担当者
に、戸籍謄本のコピーなどを提出して協議す
る。「守る会」メンバーが中国にいる日本
人妻とその娘に会う予定であることを告げ、
18日(火)午前に外務省にその結果を報告
する手はずにする。外務省の担当者は、人定
と帰国意思が確認され次第、帰国実現に向け
て動くことを約束する。
2月16日(日)「守る会」メンバーとジ
ン・ネットのスタッフが延吉市で日本人妻と
娘に会う。場所は、二人を保護している朝鮮
族の家。二人の帰国意思の訴えをビデオで撮
影し、それをインターネットで日本のジン・
ネットに送る。
2月17日(月)中国から送られた二人の映
像をジン・ネットが弟に見せる。
2月18日(火)午前10時、「守る会」代
表が外務省に出向き担当者に会う。「守る
会」メンバーの延吉市での調査にもとづい
て、日本人妻本人とその娘であることを確認
したこと、ともに日本へ帰国したいとの希望
を持っていることを報告。同時に、中国から
送られた、二人が帰国意思を訴えたビデオ映
像を提出する。延吉市周辺では道路の検問が
ひんぱんにあり、二人を日本領事館のある瀋
陽まで運ぶことが危険だとの現地からの報告
もあり、「守る会」代表は、外務省に対し、
二人を延吉市で保護するよう要請した。
 中国からの映像を姉と母親に見せる。
 北京の日本人学校に四人の脱北者が駆け込
む。
2月19日(水)外務省より連絡。二人を延
吉市で保護すべく、中国側と交渉中なのでも
う少し待ってほしいという。
2月20日(木)外務省より連絡。明日午
後、瀋陽総領事館から二人を保護するために
延吉市まで館員が出向くという。夜、延吉市
にいるジン・ネットのスタッフに総領事館員
から電話が入る。すでに車で瀋陽を出発して
おり、翌21日午後1時に、延吉市のホテル
で二人を引き取るとの連絡だった。
2月21日(金)現地時間の午前11時ごろ
総領事館員からジン・ネットのスタッフに電
話がある。すでに市内に入っているとのこ
と。予定より早く、昼12時すぎ、ホテル玄
関前で総領事館員に身柄を保護される。総領
事館の用意したバンの中で、簡単な人定がお
こなわれたあと、バンは瀋陽に向けて出発し
た。身柄の保護には、ジン・ネットのスタッ
フが立ち会った。 
 弟には、立ち会ったジン・ネットのスタッ
フが中国から直接に電話で保護された様子を
報告した。姉と母親には、保護された経緯を
東京のジン・ネットオフィスが電話で知らせ
る。
2月22日(土)一部の新聞朝刊は「政府関
係者」が明らかにしたこととして、脱北日本
人妻が娘とともに瀋陽総領事館に保護された
旨を報道。
外務省から日本の親族のもとに電話が入る。
担当者は、二人が保護されたことを報告し、
「困ったことがあったら相談してください」
と申し出る。
2月26日(水)ジン・ネットのスタッフが
姉、母親と会い、帰国後の二人の受け入れに
関して相談。姉は「一週間程度なら受け入れ
ることができる」といい、自宅の一室を用意
していた。
夜、やはり受け入れについての相談のため、
「守る会」メンバーとジン・ネットスタッフ
が弟の家を訪問した。「経済的には余裕がな
いが、できるかぎりのことをしたい」との言
葉を聞く。
2月27日(木)「守る会」が会議を開き、
帰国後の二人の生活を支援する方針を決め
る。
3月 3日(月)朝10時、「守る会」メン
バーが外務省を訪問、二人の帰国後の生活支
援などを要請。
3月21日(金)2月18日に日本人学校に
駆け込んだ四人の脱北者がソウルに到着。
3月28日(金)日本人妻と娘が瀋陽を発
ち、正午、関西国際空港に到着。
 

チェコ共和国プラハで開催された

第四回北朝鮮の人権と難民に関する国際会議で採択された決議

 

  我々は第四回北朝鮮の人権と難民に関する国際会議に、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ共和国、フランス、ドイツ、日本、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国、マケドニア、ネパール、スロヴァキア、南アフリカ、イギリス及びアメリカ合衆国から集まった。あらゆる場所の自由な人々が享受し、国際人権宣言に記されている人権を北朝鮮の国民も与えられていると断言するためである。

  北朝鮮の政権は現代の人権の著しい侵害者であるが、市民的及び政治的権利に関する国際規約ならびに経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約の双方の加盟国であるため、これらの権利を保護する義務を負っている。

  我々は組織及び個人として、北朝鮮に人権の光をもたらすためにできるあらゆる活動を続けることを誓う。

  この会議の開催中にとりかかると誓った活動に加えて、

1. 我々は国連人権委員会に、近く開催される会議の期間中に、朝鮮民主主義人民共和国の人権に関する実績を非難する決議を採択するように求める。

2. 我々は朝鮮半島の安全協定には、北朝鮮を含む当事国全てが、北朝鮮を逃れた難民の権利を含む人権の尊重を表明し、人の接触を奨励し、家族の再開を推し進め、情報の自由な流れをもたらすことが必要であると主張する。

3. 我々は北朝鮮政府と接触する際には、常に人権状態の改善、特に政治犯収容所や集結所の廃止と収容者全員の解放のための話し合いを含むことを国際社会に訴える。

4. 我々は世界中のジャーナリストと国際的な人権団体に、北朝鮮の人権状態を正確に十分理解して国際社会に提供する努力を強めることを求める。

5. 我々は拘束力のある仲裁に訴えることで、妨害されることなく中国の北朝鮮難民に接触する権利を保証することを国連難民高等弁務官に求め、国連の加盟国には、中国内で表面化している北朝鮮難民が、すなわち当該の、国連難民高等弁務官によって保護されるべき人々であることを明示した決議を通過させることを求める。

6. 我々は中国とロシアに圧力を加えて、自主的な救援組織が北朝鮮を逃れた北朝鮮難民に対して妨害なく援助を行うことを許可させることを、また中国側に拘束されている人道援助活動家を釈放するよう、国際社会と国連難民高等弁務官に求める。

7. 我々は食糧援助の配布を完全に管理し、目指8. された受給者によって確実に消費されるようにし、この援助が多方面へ運ばれることによって北朝鮮の国民が更に服9. 従させられることに利用されるのを防ぐことを、援助国や援助組織に求める。

10. 我々は人々が国際法に反する非人道的で残酷な扱いを受けている政治犯収容所と集結所の廃止を求め、拷問や強制的な堕胎や幼児殺害を直ちに終わらせることを要求する。

11. 我々は北朝鮮難民の強制送還を直ちに止めさせることを求める。

10.我々は北朝鮮に留められている、日本や大韓民国及びその他の国からの帰国者や抑留者、拉致された市民全ての解放を求める。

  我々は北朝鮮の人々の生命の救済に専念する人権団体の国際的ネットワークを広げ続け、それぞれの政府に行政機関でこれと同様の決議を採択するように勧めて、各政府が北朝鮮の人権問題に最大の関心を払うように促し、政府と、メディアを含む社会の非政府組織双方に、北朝鮮の人権問題に関する情報を発信する上で協力しあうことを誓い、北朝鮮の人々に人権の光がもたらされるまで活動を続けることを誓う。

この会議を主催し、北朝鮮における人権を積極的に支援してくださっている、プラハならびにチェコ共和国の方々とチェコの国会、ハヴェル前大統領ならびに韓国の市民連合に深く感謝いたします。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



2003
39

北朝鮮脱出者の体験と願いを
聞く集い 東京/大阪   決議

 北朝鮮脱出者が語った体験は、日本で暮らす私たちの想像を大きく超え、実感を持って受け止めることが困難なほど深刻なものであった。北朝鮮に家族・親族を残しながら、真実を知らせるために証言した勇気ある11名の行動を称えたい。

 苦しかった飢餓生活を涙をこらえて語った人、行方不明の娘に伝わることを願って証言した母、父母を説得して帰国させたことを後悔し、自責の念に一人隠れて泣く若き総連活動家だった娘、「帰国者2世と北朝鮮民衆の前途を開くため力を借りたい」と訴える帰国2世。

帰国船が清津港に接岸しようとしたとき、港の風景と出迎えの人々を見た帰国者は、早くも「しまった。騙された。」と気づきはじめたという。それほど社会経済状態の格差は大きく、「地上の楽園」は真っ赤な嘘であった。「人をあざむいて誘い出すこと」は誘拐であり、重大な人権犯罪である。何人もの証言者が朝鮮総連の罪と責任を指摘したのは当然であった。

今、隣国北朝鮮の民衆は危機的困難に陥り、安全を求めて大勢の人々が中国に脱出している。しかし、中国政府が脱出者を保護するのでなく、犯罪者として逮捕し、北朝鮮に送還しているため、深刻な被害が発生している。私たちは、中国政府が金正日政権の人権犯罪に共犯者となっていることを怒りをもって告発する。

1 金正日政権は核開発など軍事挑発の愚行を止め、その資金を国民の食糧調達に回し、国民に対する基本的義務を果たすことを求める。

2 中国政府は、経済活動だけでなく、オリンピック開催など文化的政治的にも国際社会に信頼される名誉ある一員となるため、金正日政権の人権犯罪の共犯となることなく、北朝鮮脱出者を保護することを求める。

3 日本政府は、日本国籍を有する脱出者だけでなく、元在日帰国者とその家族の脱出者については、歴史的経緯と社会的実情から、本人が希望すれば日本国民に準じる人として、直ちに保護することを求める。

4 北朝鮮の民衆の危機的状況を考慮し、脱出者の安全を確保するため、日本政府が積極的な役割を発揮し、本人が希望すれば直ちに日本に受け入れて保護することを求める。

5 日本政府は韓国政府と連携、共同して中国政府に強く働きかけ、早急に脱出者を保護する仕組みを共同で作り上げることを求める。

6 日本に入国した脱出者が健康で文化的な生活が営めるよう、受け入れと生活支援、教育支援の仕組みを早急に作り上げ、すでに入国している脱出者にも適用することを求める。

以上、集会参加者の総意としてこれを決議し、政府に要請する。

 

200337

内閣総理大臣
小泉純一郎殿

  元在日脱北者とその家族11
     ならびに 支援7団体

元在日脱北者とその家族の保護と日本入国等の請願

 

 195912月に始まった帰国事業で北朝鮮に渡った93000余人は、取り戻すことのできない大切な人生を大きく狂わされました。北朝鮮政府と朝鮮総連は北朝鮮が「地上の楽園」であるとする一方的な情報だけを提供し、衣食住や市民的自由の実情などについて正確な情報を故意に隠し、判断を誤らせて北朝鮮に誘い出しました。労働力、技術者、資金を北朝鮮に移すことと、北朝鮮の政治宣伝に利用する意図がそこにあったのです。

帰国者が持ち帰れない財産を預かることで、朝鮮総連は巨額の収入を手にしました。帰国事業には、朝鮮総連による重大な人権犯罪としての性格がありました。そして、その被害は帰国した直後だけでなく、40年以上経過した現在まで継続しているのです。しかも、その被害は北朝鮮に渡った人たちだけでなく、その在日家族の上にも重くのしかかっているのです。

 元在日脱北者の第一号である金幸一さんが朝鮮総連に損害賠償を求めた帰国者裁判で、朝鮮総連は帰国事業の「意義」や「正義・正当性」を一度として主張することなく、時効による免責だけを求めました。

 元在日脱北者は、かつて日本国籍を有した人たちであり、日本で生まれ育った、日本を故郷とする人たち、日本に強い望郷の念をもつ人たちです。その人たちの親族は日本にいて、日本国籍者と広く姻戚関係を形成しているのが現状です。

これまでの歴史的経緯や社会的諸関係から、その人たちは日本の永住権を保持していると言うべき人たちであり、日本国民に準じる人たちです。そのような立場にある人とその家族が、今中国に脱北し、日本政府に助けを求めているのです。帰国者の人権問題、元在日脱北者の人権問題は、取りも直さず日本の社会問題であります。

 日本国籍を持つ脱北者が中国国内で日本政府に保護を求めたときは、領事館員が出向いて身柄を保護するよう対応していると聞きます。日本国民に準じる元在日脱北者とその家族についても、日本政府が「身の安全を守るべき人」であることを明確にし、速やかに対応して保護することを強く強く要請いたします。

 生命の危険から逃れる手段として中国に脱北した人たちが、そこでも身の安全を確保することができず、凄惨な被害を蒙っている現状を直視し、日本政府が人権擁護のための国際的な行動のリーダーシップを取ることを求めます。

 脱北者の安全確保は人道上の課題であり、日本と韓国が連携し、官民が一体となって協力するべき課題です。国連難民高等弁務官事務所を始めとする国際機関や世界の各国の協力を求めて、日韓が共同で脱北者の人権擁護に立ち上がれば、中国政府の理解と協力を得ることも不可能ではないでしょう。

 日本政府がアジアの人道問題について確かな役割を果たしていくことがマアジアの平和と安定に大きく貢献する道であり、アジアと世界の人々の期待にこたえる道であると考えます。

 具体的には、以下のことを要請いたします。

 1 中国で日本政府の保護を求めている元在日脱北者は、日本国民に準じる人として、速やかに保護のために必要な行動をとり、本人が希望すれば日本入国を認めること。

 2 脱北者がSOSを伝えるための連絡事務所を設置し、電話あるいはインターネットなどで何時でも受信できる体制を作り、電話番号などアクセス方法を公表しておくこと。

 3 脱北者の保護については、日本と韓国が自国民あるいは自国民に準じる人の問題として特別な関係を有することに鑑み、両国が強く連携して保護にあたるとともに、官民の国際機関、各国政府の協力を得て、中国政府を含めた協力体制を作ること。保護の体制がないため、悪質なブローカーの跳梁を許すなど「脱北ビジネス」を成立させていますが、脱北者保護の国際協力体制でその存立条件を消滅させること。

 4 中国にいる脱北者を保護することなく、犯罪者として捕らえ、北朝鮮政府に引き渡す中国政府の態度は、著しく人道に反し、中国国内で新たな、かつ深刻な人権被害が発生しているため、難民として保護することを、中国政府に求めること。

 5 難民条約の改正にあたり、人道的配慮から、国外においても速やかに日本の難民認定が受けられるようにすること。

 6 日本に戻ってきた帰国者の定着支援として、@公的住宅の斡旋・提供、A職業訓練など自立のための支援、B学校教育あるいは日本語教育の支援、C急激な環境変化に伴うメンタルケアの体制、を策定すること。

以上、脱北者11名は、家族を救うためにも、日本政府に強く強く要請いたします。

元在日脱北者とその家族11

安明河(アン ミョンハ)  
李燦成
(イ チャンソン)
呉寿龍(オ スリョン)   
金幸一
(キム ヘンイル)
姜聖姫(カン ソンヒ)   
宋麗美
(ソン ヨミ)
崔明姫(チェ ミョンヒ)  
鄭美子
(チョン ミジャ)
朴東哲(パク トンチョル) 
文賢一
(ムン ヒョニル)
白明葉(ペク ミョンヨプ)

支援7団体  共催 
「近江渡来人倶楽部」
「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」
「北朝鮮の民主化と在日の明日を考える会・民主無窮花」
「在日コリアン市民協会(準備会)」
「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」「高槻むくげの会」  (五十音順)

協賛 「北朝鮮難民救援基金」

2003310

在日本朝鮮人総連合会への
申し入れ書

  私たちはかつて、日本から北朝鮮に帰国した在日朝鮮人二世と、その後北朝鮮で生まれた帰国者の二世です。

 在日本朝鮮人総連合会(以下:朝鮮総連)が組織した祖国帰還事業で、総計93000人余りの在日同胞とその日本人配偶者(1800)が北朝鮮に渡りました。日本社会の民族差別・貧困と決別し、社会主義祖国の建設に参加するのだという希望を抱いて帰っていったのです。

朝鮮総連による「北朝鮮は地上の楽園」という宣伝を信じて帰国を決意した人も大勢いました。しかし、北朝鮮は「地上の楽園」などではなく、あらゆる物資が不足し、自由に物も言えず、移動の自由もなく、さらに私たち帰国同胞は、資本主義社会の日本から北朝鮮に来たとして、祖国の地で新たな差別と監視に晒されました。政治犯収容所に入れられたり、行方知らずになった人も少なくありません。

「地上の楽園」は真っ赤な嘘でありました。「人をあざむいて誘い出すこと」は誘拐であり、重大な人権犯罪です。朝鮮総連の罪と責任は重いといわざるを得ません。

 さらに北朝鮮では90年代にはいると、朝鮮の歴史始まって以来の大飢饉で、帰国同胞を含めて膨大な数の北朝鮮民衆が餓死、病死してしまいました。私たちは、何とかして人間らしく生きるために、命からがら北朝鮮を脱出するしかありませんでした。日本は私たちの祖国ではありませんが、生まれ育った故郷です。懐かしい家族・親族・友人が住んでいます。出来ることなら、日本からの帰国者は、生き別れになったままの懐かしい家族・親族・友人に会いたいと願い、日本で暮らしたいと考えています。

このような理由により、私たちは朝鮮総連に以下のことを要求します。

1.虚偽宣伝によって北朝鮮に帰国させた同胞に対し、責任を認めて謝罪し賠償せよ!

2.帰国同胞と日本人配偶者の安否・消息確認を行い、一日も早く日本と自由往来が出来るよう努めよ!

3.金正日政権への盲従をやめ、在日同胞のために活動せよ。同胞に北朝鮮の虚偽の政治宣伝をするな!朝鮮学校では民主的民族教育を行え!

4.帰国同胞、日本人配偶者とその家族の北朝鮮脱出者については、歴史的経緯と社会的実情から、本人が希望すれば日本国民に準ずる者として、日本政府が保護し日本に受け入れてもらえるよう行動の先頭に立て!

5.日本人拉致被害者救出のために、積極的に責任を果たせ!

北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会・ソウル本部

在韓国元在日朝鮮人脱北者一同