朝鮮学校教科書「現代朝鮮歴史 高級2」 

└ 2010-05-20 12:17

星へのあゆみ出版より、朝鮮学校教科書「現代朝鮮歴史 高級2」の日本語訳が発行されました。今回は1953年から1980年までの朝鮮の歴史が記されていますが、こちらも中々すごいことが書いてありますし、同時に都合の悪いことは一切触れられません。

朝鮮戦争で北朝鮮は何万人もの韓国人を拉致したことは、もちろん全く触れられません。そして、我が守る会のテーマでもある北朝鮮帰国事業については、このように記されます。まず、それまでの在日朝鮮人の運動(日本共産党と共闘した民戦の運動)が基本的に間違っていたとして、新たな在日組織が必要だとし、朝鮮総連結成について次のように書かれています。

「敬愛する金日成主席様におかれては、主体43(1953)年9月に、路線転換方針を実現するためには、新しい海外同胞の組織を作らなければならないとおっしゃり、その組織は在日同胞の生活上の問題や共和国の公民権用語の問題、民主主義的民族教育の権利の保護の問題、祖国統一の問題などにもとづいて活動する組織にならなければならないとおっしゃった」

「(1955年)5月25〜26日に東京の浅草公会堂で総連結成大会が開かれた。大会では、主体的路線転換方針を具現した活動方針と創立宣言、8大綱領と規約が採択されて、25日に共和国の海外同胞組織である在日朝鮮人総連合会(総連)の結成が宣布された。敬愛する金日成主席様におかれては、次のようにお教えなさった。『1955年5月25日は、在日同胞にとって忘れられない歴史的な日であります。まさに、この日に総連が結成されて、在日同胞の運命と在日朝鮮人運動の発展に根本的な転換をもたらしました』」

総連が結成時から金日成の完全な主導下にあり、またその目的の一つに、民族教育(まあ本当は金日成・金正日教育)が掲げられているのが解ります。そして、日本の政治に直接かかわるよりは、「祖国統一の問題」、つまり北朝鮮主導の朝鮮半島統一の実現のために、総連は日本で活動をすることが義務となっていたわけです。

帰国事業についての記述を次に引用します。

「(1995年9月29日、在日コリアンの祖国訪問と接見して)敬愛する金日成主席様におかれては、次のようにお教えくださった。『いま、在日同胞の中では確固とした仕事がなく、その日その日を暮らしている同胞が多いと聴いていますが、その人たちの苦労は大変なものでしょう。その人たちが日本で暮らせず祖国に戻るというのであれば、われわれは喜んで迎えるでしょう』」

「在日同胞の帰国運動は1958年8月に、総連の神奈川県川崎支部の中留分会の同胞が、『祖国の話し集会』を開いて、共和国への集団での帰国を決意したのを契機に、いっそう拡大していった。東京で開かれた、祖国解放13周年記念在日本朝鮮人中央慶祝大会など、日本各地で開かれた慶祝大会でも、同胞の帰国への願いのこもった決議を採択し、敬愛する主席様に手紙を差し上げた。」

「総連と在日同胞は(中略)日本の各地で大衆集会や署名運動、日本政府への帰国要請など、さまざまな形と方法で帰国運動を活発に展開した。この運動は、日本人民を始め世界の進歩的人民の幅広い支持を得た。同胞の正当な要求を無視できなくなった日本当局は、帰国協定の締結によって得ることになる政治的、経済的利害関係の打算に基づき、1959年2月13日に在日同胞を共和国に帰国させることに関する決定を下した。」

「朝日赤十字代表団の間の会談の結果、1959年8月13日には、在日朝鮮公民の帰国に関する協定が締結された。そうして、1959年12月14日に、975人の同胞を乗せた最初の帰国線が新潟港を出航して、16日には祖国の清津港に入港することになった。帰国の実現は自主独立国家の海外公民として、在日同胞が民主主義的な民族の権利の擁護のための闘争で勝ち取った勝利となっただけでなく、同胞の力に依拠して繰り広げられる愛国愛族運動の礎となり、高揚の契機となった」

長い引用になりましたが、帰国運動が金日成の指示で、総連が展開したとはっきり書いています。しかし、帰国者は北朝鮮に到着した瞬間から、かの国の貧しさ、自由のなさを知り、総連と北朝鮮の宣伝が嘘だったことを知るのですが、もちろんそのことや、帰国者のその後の運命には一言も触れられていませんし、日本人妻という記述もありません。しかし、総連自身がこのように帰国事業への関与を認めているのに、これでも帰国事業には総連には責任がないと彼らは言い続けるのでしょうか?そして、5月26日に予定されている高政美さんの帰国事業訴訟で裁判長はどのような判断をするのでしょうか?

北朝鮮国内では、特に1967年以後徹底的な弾圧と粛清の嵐が吹き荒れるのですが、もちろんそういうことは一切かかれていません北朝鮮の武装ゲリラによる青瓦台突入事件にも触れません。そして、金正日について記述が現れます。

「(1970年代)共和国の人民の耳目は、1960年代中葉から、敬愛する主席様の領導を積極的に補佐なさり、革命と建設を新しい高い段階にお導きなされる敬愛する金正日将軍様に注がれた。将軍様におかれては白頭山密営(両江道三池淵郡)でお生まれになり、抗日革命闘争と新しい祖国建設、祖国解放闘争と戦後復旧建設の日々の歴史に特記すべき数多くの事変を直接体験なさり、高い資質と高潔な品格を育みなされた」

こういう文章は読んでいていやになるのでいい加減やめますが、これ以後は金正日の美化、そして韓国への誹謗、70年代以降崩れていく北朝鮮経済の実態を無視した偽の発展宣伝が延々と続きます。繰り返しますが、自国の独裁者、しかも世襲の権力者をここまで礼賛し、事実を捏造し歪曲する教科書を使っている学校への公的支援を控えることが、「差別である」と断言できるのでしょうか?

少なくとも、この教科書を読んでから、挑戦学校無償化の是非を議論してほしいと思いますし、海外に誤解を与えないためにも、日本の政治家はまずは一読をお願いします。また、マスコミの方々も、仮に無償化に賛成であれ、この教科書がこのままでいいのかをコメントしていただきたい。このような教科書が今後も使われることは、朝鮮学校の子供達にとって本当に幸せなことなのでしょうか?

金正日が白頭山で生まれたことが嘘であることは皆さんご存知でしょう。しかし、より本質的なのは、日本人を拉致し、核とミサイルを開発し、独裁政権の維持のためには国民が大量に餓死してもなんらかまわないという人間を、このように「高い資質と高潔な品格」を持っていると記した教科書を学ぶ学校に、日本国の公的な支援をするのがふさわしいかどうかということを、まずは教科書を直接お読みいただいて、考えていただければと思います。

本書を希望される方は、星へのあゆみ出版(ファックス 0729-90-2887)もしくは三浦まで直接ご連絡ください。miurakotarou@hotmail.com



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