北朝鮮人権情報センターニュース(10)脱北者女性が拷問で死亡 

└ 2012-04-14 09:10

北朝鮮人権情報センターニュース(10)脱北者女性が拷問で死亡 


事件の概要

咸鏡北道清津市道保衛部は、2008年5月28日中国と内モンゴル国境で逮捕され北朝鮮へ送還された被害者宋クムジュを2008年12月から2009年8月まで約9ヶ月間、スパイ容疑で不法拘禁および取り調べを行い、2009年8月28日咸鏡北道清津市道保衛部の不法拘禁および拷問取り調べで被害者宋クムジュ死亡。

事件の発生時期および場所
発生時期(期間) : 2009年08月28日

発生場所 : 咸鏡北道清津市道保衛部

人権侵害の類型
権利の類型 : 生命権/個人の尊厳性および自由権
侵害の類型 : 他の直接的行動による死亡/不法拘禁/拷問および暴行

細部な項目 : 拷問と蛮行の結果/保衛部および安全部調査および拘留施設

被害者宋クムジュは2004年8月、母と弟が居住していた中国へ初めて脱北し、2008年5月20日弟と韓国行きを企図する前まで中国の遼寧省の紡織工場、家政婦などの仕事をして金を儲けた。 宋クムジュと宋ヒョンジュは2008年5月20日朝7時、ブローカーの案内の下に瀋陽を出発して北京を経て内モンゴル境界地域に到着したが、5月28日夜中国と内モンゴル国境に設置された鉄条網を越えようとした瞬間、パトロールカーに見つかり逮捕された。二人は7月8日北朝鮮新義州(シンウィジュ)保衛部に護送された後、二ヶ月間取り調べを受け10月6日会寧市保衛部へ一緒に移管された。妹宋ヒョンジュの証言によると、市保衛部での取り調べは週5日ほど行われ、毎回二三時間程度進められた。 彼女は取り調べ時、手錠や木の椅子の脚などで、ひどく殴打されたと陳述した。

宋クムジュは保衛部での調査中、素直に話せば助かるという担当保衛院の話を額面通りに受け入れ、瀋陽市の家庭で家事お手伝いとして働いた時、その家を訪問した韓国からの客人を見た話まで詳しく述べた。 同じ年12月宋クムジュはスパイ疑惑で、咸鏡北道清津市道保衛部に移送されて取り調べを受け、たし2009年8月28日道保衛部に拘禁された状態で死亡した。

“スパイ疑惑を受け道保衛部へ身柄を送検されすべて話をしました。2009年10月にとても気になったので、お金を渡して保衛部の人に聞いてみました。その保衛部員が言うには、保衛部の文書には8月28日腎臓炎で誤って死亡したというのです。でもそんなことはそこで言う言葉であって、拷問のせいで辛い思いをして死んだのでしょう...今でも信じられません。”

被害者
宋クムジュ(女、1989年生れ、咸鏡北道会寧市(フェリョンシ)城川洞 (ソンチョンドン)、現在は死亡)

加害容疑者(機関)
咸鏡北道清津市道保衛部

情報提供者
本事件は2012年2月、被害者宋クムジュの弟の宋ヒョンジュが証言した。当時宋ヒョンジュは姉宋クムジュが市保衛部から道保衛部に移管され、調査されたことを熟知していたし、死亡を直接目撃することはできなかったが、一緒に北朝鮮へ送還された当時の宋クムジュの健康状態に照らしてみると、道保衛部の拷問による死亡であると確信する。宋クムジュの死亡は該当保衛部の保衛部員を通じて、間接的に確認された。

情報の出処 : (社)北朝鮮人権情報センター人権調査面接紙
情報受付時期 : 2012年2月
情報受付場所 : 北朝鮮人権記録保存所外部
情報受付方法 : 面談調査
情報取得および事件分析者 : 北朝鮮人権情報センター研究員
検証者 : 北朝鮮人権情報センター北朝鮮人権事件リポート検証委員会
国家安全保衛部は北朝鮮の金正日体制を後押しする核心機関であり、政治犯の探索および逮捕、調査、そして政治犯収容所管理および運営を専門に担当している。 国家安全保衛部は北朝鮮刑事訴訟法で安全保衛機関として指摘され、反国家および反民族犯罪事件に対する排他的管轄権を持つ。

国家安全保衛部は犯罪者を拘禁する目的を持つ機関ではなく、保衛部内の拘留場は効果的な尋問のために、犯罪容疑者を最大4ヶ月までだけ拘留拘束できる。 しかし保衛部に収監された犯罪容疑者たちは、有罪かどうかに拘らず深刻な拷問や暴行を受けている。

収監者は保衛部で、予審を含む各種調査を受けるために調査室や拘留場に入れられるが、この二つの場所皆で拷問や暴行を経験する。

国家保衛部の調査過程で、暴行は広範囲に行われる。保衛部勤務者は自身が願う情報を短期間に容易に得ようと、物理的暴力を頻繁に使う。 暴行をする時には拳骨や、軍靴を履いたまま足蹴りしたり、木の棒が使われる場合が多い。 厳重な政治犯罪容疑者の場合、時々電気こん棒のような、別途の拷問器具が使われたりする。

北韓人権情報センターの「NKDB統合DB」によれば、2011年8月を基準にして保衛部に不法拘禁された事件が5,659件あり、拷問および暴行にあった事件は2,496件記録されている。 保衛部のような拘禁施設で拷問を受け死亡した人の正確な数は把握しにくいが、脱北者の証言に照らしてみると、その数は少なくないと推定される。


1.不法拘禁
「朝鮮民主主義人民共和国刑事訴訟法第6章捜査、第144条(逮捕した犯罪容疑者、犯罪者の処理)」
- 捜査員はこの法第143条に従って逮捕した犯罪容疑者、または犯罪者を拘禁した場合には、逮捕した時から48時間内に拘禁決定書を作って検査の承認を受け、逮捕した日から10日以内に調査し予審に渡さなければならない。 検査の承認を受けられなかったり、逮捕した日から10日以内に犯罪者ということが確認されなければ、直ちに釈放しなければならない。

「朝鮮民主主義人民共和国刑事訴訟法第7章予審、第151条(予審の期間)」
-予審員は犯罪事件の予審を始めた日から、2ヶ月内に終えなければならない。 労働鍛練刑を適用できる犯罪事件の予審は、10日内に終えなければならない。 予審を加えるために裁判所に送りかえした有期労働教化刑、無期労働教化刑、死刑を与えられる犯罪事件の予審は20日以内に、労働鍛練刑を与えられる犯罪事件の予審は7日以内に終えなければならない。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部9条1項」
- すべて人は身体の自由と安全に対する権利を持つ。 誰もが恣意的に逮捕されたり、または抑留されない。 どこの誰も法律に定めた理由および手続きに沿わずには、その自由を剥奪されない。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第10条1項」
- 自由を剥奪されたすべての人は人道的に、また人間の固有な尊厳性を尊重して取り扱われる。

2.生命権

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第282条過失的殺人罪」
- 人を過失で殺した者は、3年以下の労働教化刑に処する。過失で多くの人を殺した場合には、3年以上8年以下の労働教化刑に処する。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第10条1項1節」
- 矯導所収監制度は服役者たちの校正と社会復帰を基本的な目的とする処遇を含む。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第6条1項」
- すべての人間は固有な生命権を持つ。 この権利は法律によって保護される。 どこの誰も恣意的に、自身の生命を剥奪されない。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第10条1項」
- 自由を剥奪されたすべての人は人道的に、また人間の固有な尊厳性を尊重して取り扱われる。

3.拷問および暴行

「世界人権宣言第5条」
- どこの誰も拷問および残酷で非人道的な、または屈辱的な待遇や処罰の対象になってはならない。
「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第7条」
- どこの誰も拷問または残酷で非人道的な、または屈辱的な取り扱い、または刑罰を受けない。 特に誰もが自身の自由な同意なしに、医学的または科学的な実験を受けない。

「拷問およびその他残酷で非人道的な、または屈辱的な待遇や処罰の防止に関する協約」

4.加害容疑者

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第7章一般行政管理秩序を侵害した犯罪、第2節官吏従事者の職務上の犯罪、第246条(職権乱用罪)」
- 官吏従事者が利己的目的から職権を乱用し、厳重な結果を起こした場合には2年以下の労働鍛練刑に処する。情状が重い場合には、4年以下の労働教化刑に処する。




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