北朝鮮人権情報センターニュース(11)殴打で囚人女性が死亡 

└ 2012-04-14 09:12

北朝鮮人権情報センターニュース(11)殴打で囚人女性が死亡

事件の概要

2007年12月咸鏡北道清津市羅南区域保安処で、20代の警護員チョ・グァンチョルと崔ミョンチョルは被害者李福(姫?)を殴打で殺害に至らしめた。 被害者は事件当日、教化所に入所するために保安処の拘留場2号監房から自力で歩いて出て行ったのに、夜11時頃失神した状態で、二人の警護員たちの手で4号監房に連れて来られた後、明け方の3時頃死亡した。

事件の発生時期および場所
発生時期(期間) : 2007年12月
発生場所 : 咸鏡北道清津市羅南区域保安処拘留場4号監房

人権侵害の類型

権利の類型 : 生命権/個人の尊厳性および自由権

侵害の類型 : 他人からの直接的行動に因る死亡/拷問および暴行

細部な項目 : 拷問と蛮行の結果/殴打(暴行)

2007年12月事件当時、咸鏡北道清津市羅南区域保安処拘留場4号監房に収監中だった目撃者の証言によれば事件当日、夜11時ごろに拘留場警護員チョ・グァンチョルと崔ミョンチョルが被害者李福(姫?)を4号監房の前まで、犬のように引きずって来て放置したという。 その時既に李福(姫?)は昏睡状態に近く、4号監房に入れられていた収監者四、五人が鉄格子の外に出て、被害者の腕や脚を持って監房の中に移さなければならなかった。 監房中に入れられた被害者の状態を見ると、髪の毛があちこち塊りになって抜けていた。髪をつかんで頭をひどく振り回された跡だった。 監房の中に被害者を移すと、すぐにチョ・グァンチョルと 崔ミョンチョルは再び被害者を監房鉄窓近くに体を移させ、被害者の頭をつかんで鉄格子に数回強くぶつけた。 そのように頭を数回殴られて、李福(姫?)が監房の隅にそのまま横たわってしまうと、すぐにその警護員はまた“オイ、その女の服を脱がせろ”と指示した。 目さえ開けられない失神に近い状態なのに、被害者はその声が聞こえたのか自分の服の襟を両手で整えて握り、呻くような低い声で“先生... 先生...”だけを繰り返した。 警護員たちの烈火のような勢いに4号の監房長が被害者の服を脱がせると、警護員たちは被害者を監房のトイレに入れろと命令した。4号監房の収監者たち何人かが、もう一度真裸にされた被害者を引きずってトイレの中に入れた。 被害者の上体はトイレの中に入っていて、脚の部分はトイレの外に伸び出ている状態のまま数分が過ぎた。少し経って警護員たちが帰ると、収監者たちは被害者を再び監房に入れ寝かせたが、約4時間後の明け方3時頃、被害者李福(姫?)は息を引き取った。

目撃者は被害者の死因は殴打のせいであると力説した。 その理由は事件当日の朝、被害者が教化所に行くと2号監房から元気に歩いて出たのに、夜には一人で歩くこともできないほとんど死体のような状態になって、チョ・グァンチョル、崔ミョンチョルの二人の警護員に引きずられて来たということだ。 何の理由からか被害者は教化所に入所できずに羅南区域の保安処に戻って来て、チョ・グァンチョルと崔ミョンチョルは再入所の手続きを処理するのが煩わしく、その腹いせから被害者を殴打したということだ。 その時、当時他の警護員たちは全員退勤した後で、保安処で警護に残っていたのはチョ・グァンチョルと 崔ミョンチョルだけだったという。

“殴り殺されたのです。先生、それは確実です。本当に殴り殺されました。教化所へ行くからと歩いて出て行った人が、死体になって戻って来たのに。 元気で、死ぬような子ではありませんでした。 元々2号監房にいたのですが、2号監房で一緒に生活した人たちは、何と言っても愛憎相半ばする筈ですから、これまで一緒に暮した人が半殺しになって戻って来たのだから、そちらに入れるのなら自分たちの部屋に入れようとしたという話です。 そばで見ていると、恐ろしくて魂が抜け落ちそうです。 それでタイのバンコクの収容所で座っていると、それが辛いという、そんな子たちが羨ましい限りです、お前たちは本当に幸せだと...”

被害者
李福(姫?)(女、40代)

加害容疑者(機関)

チョ・グァンチョル(男、2007年事件当時22才、咸鏡北道清津市羅南区域保安処警護員)

崔ミョンチョル(男、2007年事件当時20代後半、咸鏡北道清津市羅南区域保安処警護員)

情報提供者

情報提供者は2011年(韓国)入国者で上の事件を直接目撃した後、証言したが、本人と家族の身辺安全上の理由から実名公開を許諾していない。

情報の出処 : (社)北朝鮮人権情報センター人権調査面接紙

情報受付時期 : 2012年2月

情報受付場所 : 北朝鮮人権記録調査室

情報受付方法 : 面談調査

情報取得および事件分析者 : 北朝鮮人権情報センター研究員

検証者 : 北朝鮮人権情報センター北朝鮮人権事件リポート検証委員会

人民保安部の拘留場は保衛部の拘留場と同じように各保安部の機関内に設置されていて、建物の一部を構成する。 一般的に建物の片方の部分に保安処の他の空間と拘留場の空間を分離する扉があり、その扉を通過して拘留場に入ると、それぞれの収監室が配置されているというのが、北朝鮮離脱住民たちの証言を通じて確認された。 保安処の正門の両側には予審課があり、収監室に入る入口の横には警護室がある。 その入口から入ると収監室が並んでいて、トイレはそれぞれの収監室の内側に位置している。トイレは別途に区分された場所ではなく、用便を見る収監者を最小限で分ける一種の敷居が設置されている、開放された空間だ。ここには洗面ができる水道施設が一緒に設置されていて、このような保安処の拘留場の姿は、保衛部の拘留場の姿と似ていると言える。

本事件の発生場所である咸鏡北道清津市羅南区域保安処の拘留場の場合、拘禁室がいくつあるのか正確には知られていないが、北朝鮮離脱住民たちの証言を総合してみると4個以上10個以下であると推定され、各収監室当りの収監人員は平均15人程になると見られる。

人民保安処の拘留場に拘禁された収監者も、保衛部の収監者と同じように拷問と暴行にさらされている。それらは調査および予審が行われる時と普段、拘留場に収監されている時間に各々、調査員や警護員から拷問や暴行に遭う事がある。 拷問および暴行が加えられるケースは、調査の過程で調査を担当する保安員の指示を履行しなかったり、彼が望む返事が返って来ない時だ。 また拘留場では動いたり隣の人と話をした等の理由から、暴行および団体処罰を受けたりする。 暴行は保安員や警護員によってされたり、あるいは彼らの指示で同じ収監者によってされたりする。 団体処罰には同じ姿勢を維持させられたり、給食の量を減らす処罰などが含まれる。

北朝鮮人権情報センターの「NKDB統合DB」によれば、2011年の8月を基準に拷問と蛮行の結果、死亡した事件は177件、拷問および暴行を受け、個人の尊厳性および自由権を侵害された事件は2,496件申告・受付けられている。

1.生命権

「朝鮮民主主義人民共和国刑事訴訟法第7章 一般行政管理秩序を侵害した犯罪、第2節管理従事者の職務上の犯罪、第283条(故意的重傷害罪)」
- 故意に人の生命に危険な程の重傷を負わせたり、目、耳その他の機能を失わせたり、顔にひどい傷跡を残したり、精神病を起こさせたり、労働能力を顕著に落としめた者は、5年以下の労働教化刑に処する。 前項の行為で被害者が死んだり、前項の行為を残忍な方法でしたり、または共謀したり、色々な人に重傷を負わせた場合には、5年以上10年以下の労働教化刑に処する。 情状が重い場合は10年以上の労働教化刑に処する。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約) 第3部第10条3項1節」
-刑務所収監制度は服役者らの校正と社会復帰を基本的な目的とする処遇を含む。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部6条1項」
- すべての人間は固有な生命権を持つ。 この権利は法律によって保護される。 どこの誰も恣意的に、自身の生命を剥奪されない。

2.拷問および暴行

「世界人権宣言第5条」
- どこの誰も拷問および残酷で非人道的な、または屈辱的な待遇や処罰の対象になってはならない。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第7条」
- どこの誰も拷問または残酷で非人道的な、または屈辱的な取り扱い、または刑罰を受けない。 特に誰もが自身の自由な同意なしに、医学的または科学的な実験を受けない。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第10条1項」
- 自由を剥奪されたすべての人は人道的に、また人間の固有な尊厳性を尊重して取り扱われる。

「拷問およびその他残酷で非人道的な、または屈辱的な待遇や処罰の防止に関する協約」

3.加害容疑者

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第7章一般行政管理秩序を侵害した犯罪、第2節官吏従事者の職務上の犯罪、第246条(職権乱用罪)」
- 官吏従事者が利己的目的から職権を乱用し、厳重な結果を起こした場合には2年以下の労働鍛練刑に処する。情状が重い場合には、4年以下の労働教化刑に処する。

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第7章 一般行政管理秩序を侵害した犯罪、第2節管理従事者の職務上の犯罪、第248条(職権怠慢罪)」
- 管理従事者が上部から受けた命令、指示または職務上の義務を遂行しなかったり、怠慢で厳重な結果を引き起こした場合は、2年以下の労働鍛練刑に処する。情状が重い場合は二年以下の労働教化刑に処する。

「朝鮮民主主義人民共和国人民保健法第6章 保健機関課保健従事者、第42条」
- 保健従事者は患者に親切に接してあげ、あらゆる知恵と誠意を尽くして治療しなければならない。




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