北朝鮮人権情報センターニュース(17)人民軍上尉宋美位が処罰中に栄養失調で死亡  

└ 2012-07-08 11:34

北朝鮮人権情報センターニュース(17)人民軍上尉宋美位が処罰中に栄養失調で死亡 

事件の概要

2010年人民保安部教化局傘下の第12号教化所(別名前巨里教化所)に収監中だった前人民軍上尉宋美玉は同僚のメモを外部に搬出しようとして発覚し、6ヶ月の面会停止処罰を受けた。 2010年7月宋美玉は面会を停止処罰が終わる前に栄養失調で死亡。

事件の発生時期および場所

発生時期(期間) : 2010年7月

発生場所 : 人民保安部教化局傘下第12号教化所(別名:前巨里教化所)

人権侵害の類型

権利の類型 : 生命権 / 生存権

侵害の類型 : 他からの直接的行動による死亡 / 食糧権

細部な項目 : 飲食物提供拒否 / 餓死及び栄養欠乏による苦痛

人民軍医大学を卒業した後、人民軍上尉で服務している間宋美玉は、麻薬事件にかかわって教化6年刑を宣告され、2010年当時人民保安部教化局傘下第12号教化所(別名前巨里教化所)に服役中だった。 宋美玉は入所後、教化生を苛酷にいじめることで有名な沈福順保安員の構内班に配置され教化所での生活を送った。

当時、前巨里教化所は教化生に対して、教化所の内部事情を知らせる手紙を外部に送ることを禁止していた。 教化生たちが外部にいる家族に送る手紙の内容の大部分が、教化所内の劣悪な環境と食糧不足に関することであったからだ。 このような状況下で宋美玉は、家族への面会を要請する同僚のメモを、自身に面会に来た親戚を通じて渡そうとしたが発覚し、6ヶ月の面会中止の処罰を受けることになった。 面会が許されなかったので自然に、家族からの面食(個人内部への搬入食糧)を受けられない境遇に置かれた宋美玉は面会中止の処罰期間が終わる前に、虚弱班で栄養失調により死亡した。

“人々は虚弱班、虚弱班と言いますが、虚弱班に当選すれば仕事はせずに、ただ治療しろ、そうするのですが、それも私が出て来た2010年度の初め頃に組織されました。 2007年度から女子管理課ができて(初めは)、そのままただお互いに教化班がみな管理しろ、管理しろと言ったのに余りに死亡者数が多く、とても多く死んで行くので虚弱者斑を組織したのですが、私が出て来た2010年度9月当時でも100人を越えていました。 ところがそれも一言で言って、ただ一週間か二週間が過ぎるとそのままただ、皆死にます。 ほとんど死んだ人を連れて来て放置するのです。 治療するのではなく。”

被害者

宋美玉(ソン・ミオク、女、40代、咸鏡北道(ハムギョンプクト)羅津市(ラジンシ)出身、人民軍軍医大学卒業、前人民軍上尉)

加害容疑者(機関)

人民保安部教化局傘下第12号教化所(別名前巨里教化所)
沈福順(シム・ボクスン、女、1964年生れ、咸鏡北道会寧市(フェリョンシ)前巨里居住、人民保安部教化局傘下第12号教化所構内班担当保安員、人民軍上尉)

情報提供者

情報提供者は2011年韓国に入国し、上の事件を直接目撃した後に証言したが、自身の身辺安全上の理由から実名の公開を許諾しなかった。

情報の出処 : (社)北朝鮮人権情報センター人権調査面接紙

情報受付時期 : 2012年2月

情報受付場所 : 北朝鮮人権記録調査室

情報受付方法 : 面談調査

情報取得および事件分析者 : 北朝鮮人権情報センター研究員

検証者 : 北朝鮮人権情報センター北朝鮮人権事件リポート検証委員会

上の事件で言及されたように、北朝鮮の教化所で収監者に提供される食事は非常に劣悪な水準である。 配給量は収監者の行動を制御したり、労働力を絞り取る手段として使われている。 提供される飯の量は教化所毎に少しずつ差があるが、普通1-7等級のとうもろこし米を等級別に支給する。 汁は塩を溶かして沸かした塩の汁をくれ、おかずはないということが明らかになった。 教化所の収監者が食べる飯は、3等級が一般的だが規定上、一日700gを提供することになっているのに、実際には300-400g程度しか提供されない。 普通、炭鉱のように重労働をすれば2等級や1等級の飯を食べられるのに、生活総括を通じて誤ちが指摘されたり、作業場で仕事をしくじった場合、4-7等級の飯を食べさせられる。 これは別名‘処罰飯’と呼ばれが、特に7等級は独房処罰を受けた収監者に配給する飯で、一日70-90g程だから一食30g未満の量である。

したがって数多くの収監者たちが慢性的な栄養失調に苦しめられ、面会(家族から差し入れられる面食)を通じて栄養不足を解決しなければならない。 なので家族がいなかったり、生活状態が苦しんかったり、面会中止処罰を受けて面会がない収監者の場合、慢性的な栄養失調に苦しむ他はなく、状態がひどれけば死に至る。 面会がない収監者のために他の収監者が、面会で貰った食糧の一部を供出して分けているが、栄養失調とそれによる死亡の問題を解決するには力不足である。

北朝鮮では栄養失調を虚弱と称し、1度、2度、3度で区分するが、これに対する北朝鮮内の制度的根拠や基準はない。 民間次元で栄養失調の患者の症状を区分するために任意に使った基準が、慣例化されたものと推定される。 北朝鮮脱出者の証言によれば虚弱判定には、主に二種類の方法による。 第一は体重測定に基盤を置くものだ。 例えば患者の背が170cmの場合、1度の患者は42kg、2度は40kg、3度は38kgのケースに該当し、3度の虚弱患者は死ぬ直前の状態に分類される。第二の方法は、肛門に手を入れてみるものだ。 深刻な栄養失調によってお尻の周辺の肉と筋肉が急減すると、肛門周辺、すなわち両方の尻の間に空間が生じるが、栄養失調の程度によって空間の大きさも変わる。 前巨里教化所で看護婦として働いた脱北朝鮮出者の証言によれば、手の平をたてて入るほどの空間がある場合が1度の虚弱、拳骨がかろうじて入る程度が2度、拳骨が自由に出入りすれば3度の虚弱という。 虚弱3度の患者は教化所内の虚弱班に移され、彼らはほとんど数日内に死亡する。

北朝鮮人権情報センターの「NKDB統合DB」によれば、2011年8月を基準に食糧権侵害事件の申告件数は1,503件である。

1.拷問および暴行

「世界人権宣言第5条」
- 何人も拷問および残酷な非人道的な、または屈辱的な待遇や処罰の対象になってはならない。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第10条1項」
- 自由を剥奪されたすべての人は人道的に、また人間の固有な尊厳性を尊重して取り扱われる。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第10条3項1節」
- 刑務所収監制度は服役者の校正と社会復帰を基本的な目的とする処遇を含む。

2.健康権

「経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)第3部第12条1項」
- この規約の締約国は、すべての者が到達可能な最高水準の身体的及び精神の健康を享受する権利を有することを認める。

「経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)第3部第12条2項」
- この規約締約国が1の権利の完全な実現を達成するために取る措置には、次のことに必要な措置を含む。(b)環境衛生及び産業衛生のあらゆる状態の改善 (c)病気の場合にすべての者に医療及び看護を確保するような条件の創出

「国際非拘束者処遇準則規則第2部第62条」
- 施設の医療サービスは非拘束者の社会復帰を妨害するような、すべての身体的精神的な疾病または欠陥を発見するように努力し治療しなければならない。必要なすべての内科、外科および精神科の医療施設が、上の目的のために提供されなければならない。

3.加害容疑者

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第9章、第281条(正当防衛超過殺人罪)」
- 正当防衛の程度を超えたり職務執行上、義務実行上必要な程度を超えた行為を行い、人を殺した者は3年以下の労働教化刑に処する。

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第9章、 社会主義共同生活秩序を侵害した罪、第277条(厳重な結果発生放任罪)」
- 正当防衛の程度を越えたり、職務執行上必要な程度を越える行為を行い、人に重傷を負わせた者は2年以上10年以下の労働教化刑に処する。 情状が重い場合には2年以上の労働教化刑に処する。

「朝鮮民主主義人民共和国民法第4編 民事責任及び民事時効制度、第1章民事責任、第248条(人身侵害の損害補償)」
- 人の健康と生命に害を与えた機関、企業所、団体及び公民は、それに相当する損害を補償しなければならない。





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