北朝鮮人権情報センターニュース(18) 前巨里(チョンゴリ)8班化所の保安員キムチャンス、ウォンミョンファ暴行致死 

└ 2012-07-30 04:24

北朝鮮人権情報センターニュース(18) 前巨里(チョンゴリ)8班化所の保安員キムチャンス、ウォンミョンファ暴行致死

事件の概要

2011年2月咸鏡北道(ハムギョンプクト)会寧市(フェリョンシ)豊山里(プンサンリ)前巨里所在、人民保安部教化局傘下第12号教化所に収監中だったウォン・ミョンファは所属教化班の斧を盗み、他の班に売り渡した罪で担当保安員キム・チャンスにひどく殴打された後、約10日目に病気斑で死亡する。

事件の発生時期および場所

発生時期(期間) : 2011年2月

発生場所 : 咸鏡北道会寧市豊山里(旧前巨里) 所在、人民保安部教化局傘下第12号教化所(別名:前巨里教化所)

人権侵害の類型

権利の類型 : 生命権 / 個人の尊厳性および自由権

侵害の類型 : 他者からの直接的行動に因る死亡 / 拷問および暴行

細部な項目 : 拷問と暴行の結果 / 殴打(暴行)

2011年2月当時、人民保安部教化国傘下第12号教化所(別名前巨里教化所) 3課8班に配置され収監生活をしていた被害者ウォン・ミョンファは空腹に苦しみ、自身が属する薪木班(伐木班)の備品の中から斧4個を盗んで、2班の野菜班(畑作業班)に売ったことが発覚し、薪木班担当保安員のキム・チャンスから無差別に殴打された。 証言者はキム・チャンスが脚や棒を使い被害者を容赦なく暴行したと陳述した。 これに加えウォン・ミョンファは一週間独房に監禁される独房処罰を受け、この間当然面会は禁止された。

独房処罰期間が完了した後、薪木班拘禁室に戻ったウォン・ミョンファは2〜3日間食事も全くできないほどひどく病み、ついに状態がより深刻化すると夕方の点呼の前、病気斑に移されて軍医の検診を受けた。 軍医はウォン・ミョンファの腹部を触診してみた結果、正体不明の固いものが腹の中に入っていると言って、ウォン・ミョンファに何を食べたのか聞いてみたが、ウォン・ミョンファは何も食べていないと答えた。 検診後すぐに病気斑に配置された被害者は、次の日の午前9時頃青黒い泥の塊のようなものを嘔吐した後死亡した。

“鞭で打つといっても、あそこまで激しく殴るのでしょうか。 足で蹴っては棒で殴りつけ、顔が腫れあがってみな真っ青になってしまいて...そうやって殴られてから10日程経って死にました。 内出血で死んだのだが、口から真っ黒いものがいっぱい出てきましたよ。”

被害者

ウォン・ミョンファ(女、1968年生れ、咸鏡北道清津市(チョンジンシ)、死亡)

加害容疑者(機関)

キム・チャンス(男、1978年10月生れ、咸鏡北道会寧市所在、人民保安部教化局傘下第12号教化所8班(薪木班)担当保安員)

情報提供者

情報提供者は2011年韓国に入国し、上の事件を直接目撃した後に証言したが、自身の身辺安全上の理由から実名の公開を許諾しなかった。

情報の出処 : (社)北朝鮮人権情報センター人権調査面接紙

情報受付時期 : 2012年3月

情報受付場所 : 北朝鮮人権記録調査室

情報受付方法 : 面談調査

情報取得および事件分析者 : 北朝鮮人権情報センター研究員

検証者 : 北朝鮮人権情報センター北朝鮮人権事件リポート検証委員会

北朝鮮の教化所で収監者たちに提供される食事は非常に劣悪な水準で、多くの収監者は慢性的な栄養失調に苦しむしかない。 したがって収監者は面会(家族が差し入れる面会食)によって栄養不足を解決する。 したがって家族がいなかったり、生活状態が貧しかったり、面会中止や独房処罰を受けて面会のない収監者の場合、慢性的な栄養失調に苦しむ他はなく、状態が激しい場合死に至りもする。 面会がない収監者のために他の収監者が面会で貰った食糧の一部を供出して分けて上げているが、栄養失調とこれによる死亡を避けるには力不足だ。

したがって教化所内の収監者は生きるために、食べるために教化所内の豚の飼料を盗み喰いしたり、ネズミを捕って食べたり、草をむしって食べるなど、あらゆる方法を駆使して栄養を補充しようとする。 また他の方法は教化所内の備品を盗んで密売(別名‘事業’という)したお金で食べ物を求めるのだが、上の事件がまさにこのケースに該当する。

教化所内で拷問や暴行が起きる場合は、大きく三つの状況に区分できる。 最初に、収監者が生活規定を破った場合だ。 二番目は、収監者が偶発的な失敗をした場合だ。 三番目は、管理者による悪意的拷問や暴行を受ける場合だが、このような場合、収監者は訳も分からぬまま一方的な殴打に合う。

本件の場合、被害者ウォン・ミョンファが作業班の備品を盗んで売ったので生活規定を破ったケースに該当すると推定できるが、この時注目する点は教化所内の職員による収監者への暴行に対する厳格な規定が存在しないという点だ。 言い換えれば、教化所の管理者および職員が、収監者に関連する問題に対して任意に処理できる権限を持っているので、時には収監者の生命を脅かす程の殴打や拷問、独房処罰などを加えることができるということだ。

北朝鮮人権情報センターの「NKDB統合DB」によると、2011年8月を基準に保衛部に不法拘禁された事件が1,319件であり、拷問および暴行にあった事件は2,496件で記録されている。 ウィ事件と同じように教化所のような拘禁施設で拷問および処罰を受けて死亡した人々の正確な数は把握しにくいが北脱出者らの証言に照らしてみる時その数が少なくないものと推定される。

1.1. 拷問および暴行

「世界人権宣言第5条」
- 何人も拷問および残酷な非人道的な、または屈辱的な待遇や処罰の対象になってはならない。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第7条」
- 何人も拷問または残酷で非人道的な、または屈辱的な取り扱い、または刑罰を受けない。 特に誰もが自身の自由な同意なしに、医学的または科学的実験を受けない。

「拷問およびその他の残酷で非人道的な、または屈辱的な待遇や処罰の防止に関する協約」

2.生命権

「市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)第3部第6条1項」
- すべての人間は、生命に対する固有の権利を有する。この権利は、法律によって保護される。何人も、恣意的にその生命を奪われない。

「経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)第3部第11条1項」
- この規約の締約国は、自己及びその家族のための相当な食糧、衣服及び住宅を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を認める。 締約国は、この権利の実現を確保するための適当な措置を取る。

「経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)第3部第12条1項」
- この規約の締約国は、すべての者が到達可能な最高水準の身体的及び精神の健康を享受する権利を有することを認める。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第10条1項」
- 自由を剥奪されたすべての人は人道的に、また人間の固有な尊厳性を尊重して取り扱われる。

3.不法拘禁

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第9条1項」
- すべての人は身体の自由と安全に対する権利を持つ。 誰でも恣意的に逮捕されたり、または抑留されない。 どこの誰も法律に定めた理由および手続きに従わずに、その自由を剥奪されない。


「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第10条1項」
- 自由を剥奪されたすべての人は人道的に、また人間の固有な尊厳性を尊重して取り扱われる。

4.加害容疑者

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第9章、第281条(正当防衛超過殺人罪)」
- 正当防衛の程度を超えたり職務執行上、義務実行上必要な程度を超えた行為を行い、人を殺した者は3年以下の労働教化刑に処する。

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第7章 一般行政管理秩序を侵害した罪、第2節管理従事者の職務上の罪、第283条(故意による重傷害罪)」
- 故意に人の生命に危険なほどの重傷を負わせたり、目、耳、その他の機能を失わせたり、顔にひどい傷跡をしたり、精神病を起こさせたり、労働能力を顕著に落とさせた者は5年以下の労働教化刑に処する。 前項の行為で被害者を死に至らしめたり、前項の行為を残忍な方法で行ったり、または共謀したり、色々な人に重傷を負わせた場合には5年以上10年以下の労働教化刑に処する。 情状が重い場合には10年以上の労働教化刑に処する



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