北朝鮮人権情報センターニュース(22)元茂山郡朱草区家内班長チャ・ヨンヒ、「聖書流布」「教会活動」の罪で拷問され死亡  

└ 2012-09-24 09:51

北朝鮮人権情報センターニュース(22)元茂山郡朱草区家内班長チャ・ヨンヒ、「聖書流布」「教会活動」の罪で拷問され死亡 

事件の概要

1998年2月7日頃咸鏡北道茂山郡(ムサングン)茂山邑に居住していた元茂山郡朱草区家内班長チャ・ヨンヒは宗教活動および聖書流布罪で、茂山郡保衛部封鎖指導員コ・ヨンイルに逮捕された。 以後咸鏡北道茂山郡軍保衛部を経て清津市(チョンジンシ)道保衛部に移送、取調べを受けた後未詳の政治犯収容所に移送された。2年9ヶ月過ぎた後に死亡したが、その間の拷問と蛮行の結果と推定される。

事件の発生時期および場所

発生時期(期間) : 1998年2月7日逮捕 / 2000年11月頃死亡

発生場所 : 咸鏡北道会寧市茂山郡茂山邑所在 / 未詳の拘禁施設

人権侵害の類型

権利の類型 : 信念及び表現の権利 / 個人の尊厳性および自由権 / 生命権

侵害の類型 : 宗教迫害 / 他者からの直接的行動に因る死亡

細部な項目 : 政治犯収容所 / 拷問と暴行の結果

本事件の被害者チャ・ヨンヒとその夫は、中国で生まれ文化革命の時に北朝鮮へ移住した人たちで、咸鏡北道茂山郡で居住していた時にも中国に住む親戚がしばしば訪問し、家に良い物資があふれ出ることで有名だった。 チャ・ヨンヒは1998年中国に住んでいる実家の母が病気で危篤になった時中国を初めて訪問し、その後何回か中国を往来しながら吉林省(ジーリンション)和龍市(ファリョンシ)近郊西城鎮(ソソンジン)教会で伝導師として執務する親戚に会うことになった。 チャ・ヨンヒが何時、どんな方法で北朝鮮内部で教会を組織して布教活動をしたのかは明確に明らかではないが、北朝鮮の地下教会の信者名簿を写真で撮って中国の西城鎮教会に渡そうとしたが北朝鮮の税関で発覚し保衛部に連行された。

チャ・ヨンヒが保衛部に逮捕された少し後、咸鏡北道茂山郡朱草区女性同盟の総和(反省会)に保衛指導員がチャ・ヨンヒを連れて出し、チャ・ヨンヒの罪名が聖書流布及び教会組織活動と明かし、その日の総和のテーマにして再びこうしたことが発生しないように注意した。その後チャ・ヨンヒのついては色々な証言を総合した結果、咸鏡北道清津市道保衛部に連行され、70日ほど取調べを受けて未詳の政治犯収容所に連れ去られたものと推定される。 それ以降、人々がチャ・ヨンヒを目撃したのは2〜3年過ぎたある日、茂山郡の邑のバスであった。

証言によれば当時チャ・ヨンヒは、初め彼女を逮捕した保衛部指導員コ・ヨンイルと一緒だったが、体を支えることができず死体のように座っていたという。

“懲役暮しをさせたのではなく、後の背景と関連者を探そうと取調べを続け、拷問ばかりした気がする程度でした。”

証言者の内1人が当時保衛部指導員と親しかったので、指導員がその証言者に被害者の手の脈拍を測ってみさせたが、脈拍が殆どないという言葉を聞くやすぐにチャ・ヨンヒを連れて(バスから)おりた後消えてしまった。 以後チャ・ヨンヒが監獄中で死亡したという噂が広がって、実際にコ・ヨンイルは周囲の人たちにチャ・ヨンヒが死亡したと伝えた。

証言者の話によれば本件と関連して、当時の咸鏡北道茂山郡朱草区担当保衛指導員は関連者を探し出すために、担当を茂山郡茂山邑に移し、実際に茂山郡を含む清津市と吉州郡(キルチュグン)などで関連者が逮捕され、取調べを受けてから殺されたという。


被害者

チャ・ヨンヒ(1951年生まれ、女、咸鏡北道茂山郡茂山邑66班2号アパート、咸鏡北道茂山郡朱草労働者区の女性同盟組織の家内班長、現在死亡)

加害容疑者(機関)

咸鏡北道茂山郡郡保衛部、咸鏡北道清津市道保衛部

コ・ヨンイル(男、咸鏡北道保衛部指導員、チャ・ヨンヒを逮捕した)

情報提供者

四名の情報提供者は上の事件を北朝鮮で直接目撃し、それぞれ違う時期に北朝鮮を出て韓国に入国した後、これに対して証言したが、自身の身辺安全上の理由から実名の公開を許諾しなかった。


情報の出処 : (社)北朝鮮人権情報センター人権調査面接紙

情報受付時期 : 2012年6月

情報受付場所 : 北朝鮮人権記録調査室

情報受付方法 : 面談調査

情報取得および事件分析者 : 北朝鮮人権情報センター研究員

検証者 : 北朝鮮人権情報センター北朝鮮人権事件リポート検証委員会

北朝鮮は朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法で、“公民は信仰の自由を持つ。”と明示していて実生活で宗教の自由が保障されていると主張する。また、北朝鮮内にキリスト教宗教教育機関として平壌(ピョンヤン)神学院と金日成総合大学宗教学科内のキリスト教学科を押し出して、宗教の自由を対内外的に宣伝している。

しかし北朝鮮はすでに建国当初から北朝鮮のキリスト教勢力を弾圧しながら彼らを政治的に包摂、体制親和的に活用するために1946年朝鮮キリスト教徒連盟を設立したことがある。 以後1972年、名目上のキリスト教指導者養成のための平壌神学院を開院したが1995年運営が中断され、以後宗教に関連しては徹底的に外国の経済援助と対外的なイメージの次元だけで許容しているのが実情だ。 その一環として2000年韓国キリスト教系の支援で平壌神学院は2000年9月再開院し、宗教団体などで活動する牧師養成のために学生13人を皮切りに教育を開始したし、2003年3月には金日成総合大学卒業生4人が朝鮮キリスト教連盟の主管でモスクワ神学校に留学したことがある。

しかしこのような外国との経済関係、対外的イメージの次元からの宗教活動と行事に対する許容状況に反して、実際に北朝鮮の体制下では建国以来キリスト教勢力を弾圧しながら、彼らを抱き込んで政治的に独裁体制の維持のために活用している現実は、今まで変わっていない。 北朝鮮の歴史以来、北朝鮮は“宗教は阿片”というキム・イルソンの教示によって、宗教と宗教行為を弾圧し続けて来た。 特にキリスト教の場合、単純に聖書を持っていたとか、十字架の首飾りを持っていたという理由だけでも、政治犯収容所に送られているのが北朝鮮の実際の現実だ。

保安機関に勤務していた北朝鮮離脱住民の証言によれば、調査の過程でキリスト教信者であると正確に明らかになった場合、政治犯収容所に送ると伝道をする可能性が高いと判断して、秘密処刑をする事例も少なくないと証言した。

ほとんどの北朝鮮離脱住民たちの証言によると、主に中国を行き来する商売人がキリスト教や聖書と接する場合が多く、この過程で北朝鮮にキリスト教が相当流入していると証言する。主に国境地域を通じて流入した宗教は、時が過ぎるにつれ平安道(ピョンアンド)や黄海道(ファンヘド)地域にまで伝播しているという証言もあった。

北朝鮮人権情報センターの「NKDB統合DB」によれば2011年12月7日現在、信念及び表現の権利の内、宗教迫害事件は99件であり、細部項目から見た時総915件の被害事例が(宗教伝播84件、宗教物品所持205件、宗教活動466件、宗教家との接触71件、その他89件)記録されている。

1.宗教迫害

「朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法第5章 公民の基本権利と義務第68条」
- 公民は信仰の自由を持つ。この権利は宗教の建物を作ったり宗教儀式のようなものを許容することで保障される。 宗教で外勢を引き込んだり国家社会の秩序を害することには利用できない。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第18条1項」
- すべての人は思想、良心および宗教の自由に対する権利を持つ。 このような権利は自ら選択する宗教や信念を持ったり受け入れる自由と、単独でまたは他の人と共同で公的または私的に礼拝、儀式、行事および宣教によって、その宗教や信念を表明する自由を表現する。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第18条2項」
- どこの誰も自ら選択する宗教や信念を持ったり受け入れる自由を侵害される強制を受けない。

2.生命権

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第10条3項1節」
- 刑務所収監制度は服役者の校正と社会復帰を基本的な目的とする処遇を含む。

「市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)第3部第6条1項」
- すべての人間は、生命に対する固有の権利を有する。この権利は、法律によって保護される。何人も、恣意的にその生命を奪われない。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第10条1項」
- 自由を剥奪されたすべての人は人道的に、また人間の固有な尊厳性を尊重して取り扱われる。

3.不法拘禁

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第9条1項」
- すべての人は身体の自由と安全に対する権利を持つ。 誰でも恣意的に逮捕されたり、または抑留されない。 どこの誰も法律に定めた理由および手続きに従わずに、その自由を剥奪されない。

「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約 第1節第17条1項」
- いずれの者も、秘密拘禁の状態に置かれない。

4.加害容疑者

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第9章 公民の生命財産を侵害した罪、第281条(正当防衛超過殺人罪)」
- 正当防衛の程度を超えたり職務執行上、義務実行上必要な程度を超えた行為を行い、人を殺した者は3年以下の労働教化刑に処する。



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