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NEWS :12月14日集会での守る会メッセージ 
└ 2008-12-15 09:56

金正日後の北朝鮮
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会 三浦小太郎

金正日の病状については情報不足で判断はできないが、韓国からの金正日重病を伝えるビラに対しての北朝鮮側の過剰なまでの反発を見るだけでも、かの独裁者の健康状態が疑問視される事、時間の問題で「金正日後の北朝鮮」が出現することは確かである。

北朝鮮の全体主義体制はシステムとして確立されており、一独裁者の死が大きく作用する補償はない。しかし、スターリン死後、毛沢東死後、事実上改革解放に向けてこの全体主義体制が動き出したような作用が起きる可能性は決して低くはない。意や、この機会を逃すことなく、北朝鮮現体制の人権改善を目指すためにあらゆる手段を取る事が今最も重要だ。守る会は、政治犯収容所廃絶、そして帰国者・日本人配偶者の救出と言う観点から、幾つかの手段を提示したい。

まず、北朝鮮政治犯収容所の存在は既に様々な証言や著作により明らかになっている。しかし、小泉訪朝後のラッシュのような北朝鮮情報の氾濫にもかかわらず、政治犯収容所の実情を訴えた著作は、市民にも、そして何よりも国際社会においてこの人権侵害を発信できる立場にある外務省、国会議員などに充分に読まれているとはとてもいえない。政治犯収容所の実態、そして、そこで死に追いやられている帰国者、日本人妻の悲劇などを、広くこのような立場の人々に訴えていく努力は一層必要である。

そのためには、日本の全国会議員、また各省庁の主要な部署にいる人たちに、個々に直接内容を紹介し、出来れば脱北者の著作に直接当たっていただくことを積極的に実践していかなければならない。このような全体主義体制を認めることも、安易な国交回復を人権改善なしに行う事も、ともに民主主義国家日本としては行うべきではない事を、政党を超えて、人権に価値を認める全ての国会議員の共通認識となすことが必要だ。

その後、さらに政治家、民間ともに党派を超えた世界に向けての北朝鮮人権改善要求のメッセージを国際的に発することが出来れば、日本が積極的な人権外交を行っている事を世界に伝えることになるはずだ。北朝鮮、そして時には中国や韓国の一部にも、日本の北朝鮮への批判を、かっての歴史問題などを持ち出して相対化しようとする動きがある。これに対しては、歴史論争の土俵に乗ることよりも、今現在、北朝鮮でどのような人権侵害が政治犯収容所を頂点に繰り広げられているか、また、中国国内で脱北者たちが人身売買などの悲劇にあっていること、難民条約に違反して北朝鮮に強制送還されていることなど、今現在繰り広げられている人権侵害を無視して歴史論争を持ち出す愚を批判する事が必要だ。そのためには今回の集会を一つの例として、様々な政治的立場も思想も違う諸団体、諸個人が、人権・人道のために団結することの意義はまことに大きく、本日の集会を一つの連帯の契機としたい。

そして、脱北者の救出、保護、日本、韓国、欧米が連携しての受け入れは、人道・人権上必要な事であるばかりではなく、独裁政権の末期にしばしば起こりうる事だが、政権内の様々な対立や新たな粛清の危機が迫り、多くの政権幹部の国外亡命の可能性がある。この時に、拉致問題にせよ、また核問題にせよ、多くの重要な情報を知る重要人物の亡命がありうる。この意味で、今後は情報収集の好機である。戦略的視点からもまた人道上の問題としても、脱北者保護、そして日本にゆかりのある帰国者、日本人配偶者、そしてその子孫の受け入れも、治安に充分に注意しつつ積極的に行う事は、独裁政権を必ず追い詰める事にもなり、また、一九五九年に始まった北朝鮮帰国事業の歴史的総括でもある。

今後、北朝鮮情勢に大きな変動が起きた場合は、帰国者やその関係者の日本への移住希望者はかなりの数に上ると考えられ、現在の約百数十人の段階で適切な受け入れと定着支援システム構築しておかなければ多大な混乱が予想される。勿論、その中には偽装難民の存在も懸念される為、緊急の保護は迅速であるべきだが、その後の定着の為の審査は極めて慎重であるべきで、そのための法整備、難民受け入れの為の特別立法などが急がれる。そして、何よりも直ちに改善させるべきは中国政府の脱北者の不当逮捕と強制送還であり、この姿勢を変えさせるために、日本政府は国際社会に難民条約違反を訴えると同時に、中国に対する何らかの経済援助の縮小を実践することも検討する必要がある。

来るべき「金正日後の北朝鮮」は、日本との国交正常化を求めて(それは、日本からの経済支援を求めることと同じだが)動き始める可能性がある。これは、北朝鮮に対する経済支援をそのまま支配し中国東北部開発に流用した中国の意志でもある。私たちはこの事態に対し、拉致問題の解決は当然のことながら、人権改善がなされず、帰国者・日本人配偶者の出国の自由が認められない状態では国交回復は認められないという人権外交の基本を日本政府が貫くよう強く求めていかなければならない。

北朝鮮との国交回復交渉は、拉致被害者、帰国者・日本人配偶者、そして北朝鮮民衆の解放と民主化につながらなければ、単に独裁政権の延命に手を貸したに過ぎない。この原則を忘れることなく私達が訴え続け、広く市民の賛同を得ることが出来れば、金正日後の北朝鮮を独裁政権から改革解放政権、そして民主化に導く事は必ずや可能である。世界への民主主義の拡大を、武力を用いる事を避け、人権侵害への国際的な抗議と制裁、脱北者の保護と中国政府の姿勢転換の誘導、そして人権外交の貫徹によって成しうる事こそ、アジアの民主主義大国日本がなしうる国際貢献であるはずだ。

 アジア人権人道学会に期待することは、この様な方針に向けて、学問的かつ体系的な調査とそれに基づく政策立案を行って欲しい。そのためには私達NGOは全面的に情報提供や、具体的には脱北者の紹介などを行う予定がある。これまでの人権運動、人権学会が時として現実から遊離する傾向を、現実の矛盾の中で活動している私達の声を汲み取りつつ、より理想、人間の安全保障(アマルテイア・セン)が守られるアジアの実現のために様々な提言を行って欲しい。

以上が、昨日の12月14日集会で発信した守る会のメッセージです



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