twitterで「News」「北朝鮮最新情報」の更新をお知らせしています。
http://twitter.com/hrnk1


NEWS :蓮池透「拉致 左右の垣根を超えた闘いへ」を読んで(下) 
└ 2009-07-21 20:16

そして、本書において、蓮池氏は、従来の救う会の運動が、家族の救出という原点を離れ、歴史論争や、時には北朝鮮打倒運動に向かってしまっている点を再三批判的に指摘されています。この点についても、私は当たっている面はあると思います。しかし、少なくとも私個人の立場を申し上げれば、私は北朝鮮の現独裁体制を明確に民主化、打倒すべきだと考えておりますが、それは決して拉致被害者救出運動や人権運動を政治運動に利用したいからではなく、拉致被害者の全員救出や、北朝鮮の本質的な人権改善のためには、かの体制を終局的には倒さなければ不可能だと判断するからです。

勿論、拉致被害者はそのような政治的な問題まで背負う事はできない、かえってそのような思想の人びとと共に運動をすることは、政府の対北交渉を難航させ被害者の救出を遅らせるだけであり、人権運動や政治運動は、拉致被害者救出運動とは切り離していただきたい、とお考えになるのでしたら、また、家族会、救う会の多くの方がそうお考えであれば、私は拉致問題の場からは静かに身を退くべきであろうと思います。

ただ、私は逆に、日本政府が、北朝鮮の人権問題や脱北者の問題について充分積極的にならなかったことが、結局日本国政府は、拉致問題にのみ関心を持ち、広範囲な人権問題の意識が無い国と言う誤解を招き、むしろ国際的な連携に失敗した危険性があるのではないかと考えております。確かにこれは遠回りの道に見えるかもしれませんが、北朝鮮の人権問題について、少なくとも国民運動の場では緩やかで幅広い連携を拉致被害者と人権運動や脱北者救援運動の中で形作っていくことは、それこそ『左右の垣根を超えた』普遍的な運動の芽となり、拉致被害者救出の為にも様々な好影響があるのではないでしょうか。

実は、脱北者の方々と私が北朝鮮について語るとき、常に思うのが、彼らはあの全体主義体制の恐怖支配の恐ろしさ、堅固さを数十年に渡って体験しておりますので、私などが、人権問題や民主化の必要性などを語っても、北朝鮮ではとうていありえない、崩壊も民主化などおき得ないと確信しているケースが多いのです。これは推測ですが、帰国された薫さんも、彼らと同じ意見を基本的にお持ちではないかと思われます。

私もこのような考えを決して全面否定しているのではありません。私達は脱北者や、また現実に北朝鮮での生活を強いられた被害者家族の方々の認識に対し謙虚に耳を傾けるべきでしょう。しかし同時に、その中でも、あらゆる手段を通じて、どのような圧力を人権改善やあの体制にヒビをいれるためになしうるか、また、どのような手段で拉致被害者を救出しうるか、お互いの知識と体験を生かした交流ができることを私は望んでいます。

蓮池氏は、北朝鮮への経済制裁や政権打倒運動は効果が薄い、また本来の拉致被害者救出には繋がらないというお立場からか、本書後半部で主張しておられるのは、北朝鮮と日本の現在の対立姿勢を対話と交渉に向けるため、歴史問題でも北朝鮮側の立場に対し、日本政府が日朝ピョンヤン宣言に明記した以上一定の歩み寄りや現実的な行動(補償、ということになるのでしょうが)をおこなう、再調査をこれまで提示された事実に基づき実施し、こちらも制裁を部分解除して戦略的な交渉により拉致問題を平壌宣言と国交正常化の線で解決を目指すことなどを提起しています。これらの問題提起は、現在の日本政府の無策に対する蓮池さんの一つの問題提起として丁寧に読まれるべきと思います。しかし、少なくとも、北朝鮮の人権問題と、拉致問題が完全に切り離される事が前提の考えである以上、私とは立場を異にすると申し上げざるを得ません。

日本国がまず国民の生命と人権を守る立場から、また国家主権を守る立場から、まず拉致被害者救出、特に認定した方々が優先するのは当然です。しかしそれと同時に、特定失踪者、日本人妻、帰国者、また脱北者屋北朝鮮の人権問題について開かれた視点を持ち同時に国際的に訴えていくこと、さらには中国の脱北者迫害にも抗議していく事、さらに言えば、北朝鮮を支える中国政府に対する経済交流の部分的削減や支援の停止を通じてその姿勢を変えさせていく事は、究極的なところでは拉致被害者全員奪還=北朝鮮独裁政権打倒に繋がる道だと私は信じております。その意味で、蓮池氏の多くの指摘には共感しつつも、最終部分で、私は道が離れざるを得ないものがあります。

尚、最近、蓮池氏は、私とは北朝鮮の対する認識の異なる、時には北朝鮮との国交正常化を推進すべきだという意見の方々とも時にシンポジウムに参加し、また意見を交わしています。しかし、北朝鮮との国交正常化を望む人の中には、現在の金正日政権の人権弾圧に対し、批判もまた改善要求をしたことのない方もいます。彼らは拉致問題の解決を望んでいるふりをしながら、まず国交正常化ありきであり、真の意味で拉致被害者もまたそのほかの人権問題も直視してはいないはずです。また、歴史観が仮に左派の方であれ、この守る会の多くの方のように、金正日政権の人権弾圧は許しがたいと思っている人もまた多く存在するのです。『左右の垣根』は、繰り返しますが、ただ拉致だけで超えるのではなく、あらゆる人権問題に根差して左右の立場を超えて共に独裁政権(北朝鮮のみならず中国をも)対峙する所から、左右の限界を共に乗り越えていくべきではないでしょうか。

北朝鮮独裁政権打倒、また人権・民主化要求運動は、救う会、家族会とは、時には一定の距離を保つべき場合もありましょう。しかし、おそらくその目指すゴールに大きな違いはないと思います。私たちは時には共に歩み、また時には、お互いが距離を取りながらも志は常に一つにしていく事が大切ではないでしょうか。

異論は述べましたが、私の蓮池透氏に対する敬意の念は、以前とまったく変わるものではありません。小泉訪朝以前、蓮池氏がどれだけ熱心に、国民的関心の薄かった時代地道な努力をしてきたか、また訪朝以後、あえて憎まれ役を買って出ても日本政府に厳しく迫った姿、また、弟さん夫婦を北朝鮮に戻らせない為の懸命の努力と、また地域の方々の協力など、いずれも忘れ難い姿が今も思い浮かびます。そして、私も含め、運動家達が拉致被害者を利用しているのではないかという疑いを与えてしまった面が、運動の側にもあったことは認めざるを得ないこともあります。蓮池氏の指摘の正しいと思われる面は謙虚に受け止めつつも、私なりの異論も提示させていただきました。(終)






HOME

守る会

組織
呼びかけ
会則
入会のご案内
脱北者あしなが基金
帰国事業訴訟支援

NEWS

北朝鮮最新情報

デイリーNK、開かれた北朝鮮放送等の情報です。

帰国者の証言

音声・動画ファイル

集会案内

守る会および関係諸団体の集会の案内です。

声明

守る会の声明です。

かるめぎ

守る会の機関誌「かるめぎ」を紹介します。

光射せ!

守る会の理論誌「光射せ!」を紹介します。

北韓人権

北韓人権市民連合ニュースレターの紹介

資料集

書籍/映像紹介

リンク集

過去ログ

旧ホームページのすべてを収蔵しています。ただし、一部古くなっている情報もありますので、疑問の点はお問い合わせ下さい。

光射せ!


News RSS

 

管理

This site is powered by CMS Designer.