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NEWS :北朝鮮公安機関による中国人拉致(姜哲煥論文) 
└ 2009-12-15 10:53

12月11日、家族会・救う会・拉致議連主催の国際シンポジウム「北朝鮮による拉致の全体像と救出の方途」にて紹介された姜哲煥氏の論文です。大変貴重なもので、是非皆様に読んでいただきたくここに紹介します。

北朝鮮公安による中国人拉致は、主として中国朝鮮族に対し行われ、中国政府もそれを看過しているのが現状です。(三浦)

北朝鮮公安機関による中国人拉致
姜哲煥(朝鮮日報研究委員)

序論
これまで北朝鮮によって拉致された外国人は、主に日本、韓国、そして一部の東南アジアの国々の民間人であったが、実際のところ、北朝鮮によって最も多くの人々が拉致された国は中国である。
同盟国というより血盟国家であることを自負する北朝鮮が、隣国の中国人を無差別に拉致するようになった背景には、中国の改革・開放政策がある。
1992年の韓中国交正常化により、中国指導部に対する金日成及び金正日の怒りは極度に高まり、また、1997年に黄長元労動党秘書が亡命した際、中国が黄氏の北朝鮮ではない第三国行きを認めたことで、北朝鮮の中国に対する信頼はかなり低下してしまった。

中国の改革開放は、中朝間の経済的格差を広げ、全ての面において質的に異なる国家へと変化してしまった。北朝鮮では首領独裁体制が極度に強化され、中国は改革開放により経済的に目覚ましい発展を遂げるとともに、住民たちに一定の自由が与えられた。その結果、中国と北朝鮮は比較することさえもできなくなった。
このような変化は、北朝鮮が最も警戒しなければならない国が、米国、日本、そして韓国ではなく中国となる決定的なきっかけとなった。
黄長元労動党秘書によると、金正日が米国、韓国、日本を罵ることは殆どなかったが、中国に対しては口を開けば常に悪口ばかりであったという。

韓米日3国は敵対国家であるが、北朝鮮政権の体制変化を望まなかった。しかし、中国は北朝鮮に対して持続的な改革開放を要求した。すなわち、中国は、北明鮮の体制変化を要求しており、このような中国の開放のための圧力は北朝鮮にとって最大の脅威になった。
最大の敵対国である韓国とは、軍事分界線を境にしているが、中国と北朝鮮との国境は豆満江と鴨緑江を挟んで向い合っているため、北朝鮮政府は中国の変化に伴う自由主義の影響が北朝鮮内部で広がることを何よりも警戒した。
1990年代末の大飢饉により数百万が餓死すると、多くの説北者が発生し、結果として、北朝鮮の国家保衛部は中国を相手に工作を断行せざるを得なくなった。
このような背景が、中国人拉致被害者を発生させた最も大きな原因である。

1. 中国人拉致の主犯は国家保衛部

■中国とその他の国々の拉致工作員との違い
日本人など他国の拉致被害者は、北朝鮮の主要な工作機関である35号室、対外連絡部、作戦部など、北朝鮮の伝統的な工作部署によって体系的に実行されたとみられる。
日本の場合も、拉致の主な自的は、対外工作に必要な教育及び工作員のためであった。
拉致被害者は、主に諜報機関の教官や教員としての役目を果たすようになった。しかし、中国人拉致被害者は、工作機関ではなく国家保衛部によって使われた。
無作為に拉致された日本やその他の国々の拉致被害者とは異なり、中国人拉致被害者たちは国家保棄部によって計画的に「標的拉致」されたのである。

国家保衛部とその他の工作機関の役劃は異なる。
国家保衛部は体制内部や北朝鮮住民を相手に活動を行うが、対外工作機関は対外諜報のために工作する。保衛部による海外拉致への参入は、北朝鮮の体制に反対したり、それと類似の行動を行う北朝鮮人や彼らと繋がりのある中国人を違法に連行し、調査し始めたことから始まった。

■中国人拉致の初期の特徴
-北朝鮮の保衛部は初期には、北朝鮮内部の関係者と連携し重大な問題がある中国人である場合には拉致し、調査を行った上で釈放してきた。しかし、対外的な問題が複雑になり、中国公安当局の関心が高くなる中、北朝鮮に拉致してきた中国人拉致被害者の殆どを中国に帰国させずにいる。
-北朝鮮が中国人を拉致する決定的理由は反北朝鮮活動である。
反北朝鮮活動は大きく三つに要約される。

第一に、脱北者たちを助ける行為である。
第二に、北朝鮮内部の情報をとり、韓国など国外の情報機関に売る行為である。
第三に、北朝鮮内部の反政府勢力と協調する人々である。


対外情報機関による対北朝鮮浸透活動が強化され、北朝鮮に浸透するための中間拠点として中国を活用するしかない環境の中で、多くの中国人が北朝鮮内部と関連を持たざるを得ず、保衛部の標的にならざるを得ない。

2. 中国人拉致被害者の拉致の過程と中国公安当局の苦悩

■中国人の殆どが中国居住の朝鮮族

拉致のプロセスは、そのほとんどが、北朝鮮内部で活動している北朝鮮人たちが先に逮捕されることから始まる。
北朝鮮保衛部はまず、北朝鮮内部で反北朝鮮活動をする北朝鮮人を逮捕し、拷問を通じて対外関係者との連携の根を洗い出すが、そこで嫌疑が立証された中国人を、はじめに逮捕した北朝鮮人を使って誘い出し、拉致する。
-拉致被害者の殆どは、北朝鮮内部と連携した北朝鮮住民による呼び出しにより国境地域に出向き、そこで待ち伏せていた保衛部によって拉致されたことがわかっている。

■拉致被害者に対する中国政府の立場
-中朝国境地域で発生する拉致問題は、中央政府に報告すらされていないという。
現地の中国公安当局は、国境地域で行方不明になった人々が北朝鮮に連れ去られた場合、初期の調査とともに、北朝鮮政府に捜査協助を依頼することがあるが、北朝鮮に拉致されたことが確認される場合には、北朝鮮側に公式的に送還要請を行うこともある。
-しかし、この場合、北朝鮮側が頑なに容疑を否認・拒否すれば、それ以上北朝鮮に対して圧力をかけることはできず、被害者家族は、国家はもちろん、どこからも保護を受けることができなくなる。現地の中国公安当局は、拉致問題を中央政府に報告すらしないようである。

これは、まだ中国自体が人権問題に大きな関心を持っておらず、また、北朝鮮との特殊な関係のため、個人の人権問題を無視するためであると考えられる。
国境地域で行方不明になるほとんどの人々が朝鮮族であるため、国境地域での紛争を民族問題として捉える傾向もある。また、漢族ではない朝鮮人の問題であるため、あまり重要視されていない。多くの朝鮮族たちは、北朝鮮に親戚がいるので、北朝鮮保衛部は在中朝鮮族たちを中国人ではあるが朝鮮人として扱い、無作法に振舞っているのである。


拉致被害者の事例

拉致被害者 李ソングァン氏
脱北者連合団体である北朝鮮民主化委員会が、中国長白県政府及び家族などから手に入れた資料によると、北朝鮮によって強制的に拉致された中国人は、朝鮮族の李ソングァン氏(44)で、拉致された当時、中国吉林城長白県八道区保健所の運転手であったことが知られている。現在、彼には妻と娘がいる。
中国公安当局が李氏の拉致状況を調査した記録によると、彼が拉致された日時は、1998年3月6日18時となっている。
当時、李氏は、吉林城長白県八道区所在の鴨緑川周辺で北朝鮮警備兵と密貿易を行うために接触を試みていた。李氏の小さな船にはタバコ10ケースと中国酒1箱があったという。
しかし、中国側に川を渡ってきた北朝鮮国境警備隊員4人はいきなり李氏を暴行し、八道区の川を隔てて前方に位置する北朝鮮の金亨稜郡(昔の厚昌郡)まで袋に入れて拉致したという。
当時、李氏の友人である金ドッキュ(朝鮮族・長白県居住)に一度電話が掛ってきたが、すぐに切れてしまい、それから現在に至るまで消息不明である。
拉致直後、中国公安当局は家族からの申告により、この事件を調査し、北朝鮮側に身柄引き渡し要請を行ったが、両江道恵山市の道保衛部の監獄にいるとの事実を確認しただけで、身柄引き渡しは実現しなかった。その後、家族は中国公安当局に李氏の釈放を要求したが、北朝鮮保衛部から自分たちは分からないとの返事を受けたとのことであった。李民が北朝鮮に拉致されたのは、高位級脱北者などの北朝鮮住民の脱北を助けた疑いをかけられたためであるという。

拉致被害者 李ギチョン氏

2008年4月頃、在中同胞である李ギチョン氏(42)もまた、北朝鮮国家安全保衛部によって拉致されたことが知られている。中朝国境地域にある延辺朝鮮族自治州開山屯に居住していた李氏は、10年間、脱北ブローカーを専門としていた。彼は北朝鮮内部の知入金氏と連携し、脱北者を無事に中朝国境から延吉まで案内する役割を引き受けていた。
ある日、李氏に北朝鮮で一緒に働いていた金氏から電話があった。「品物が到着したので豆満江前方まで来てくれ」との連絡であった。
彼は何のためらいもなく車を走らせ豆満江前方まで出向いたが、既に待ち構えていた保衛部要員6人に取り押さえられ北朝鮮に拉致されたという。
李氏と一緒に働いていた金氏はすでに北朝鮮保衛部に捕まっており、保衛部の計画どおりに李氏を誘い出すために豆満江前方で保衛部による監視の下(李氏に)電話したとされている。
李氏の妻は、北朝鮮内部の知人を通じて、北朝鮮保衛部が中貨40万元(韓貨約8000万ウォン)を出せば釈放してくれるとの情報を入手し、他人に借金してまで釈放させようとしたがうまくいかず、結局公安当局に申し出た。中国政府は北朝鮮側に李氏の釈放を要求したが、北朝鮮からは「そのような人物は一切知らない」との返事しか返ってこなかったという。


拉政被害者 姜クッ氏
北朝鮮咸鏡北道茂山郡前方に位置する中国虎谷地域に住んでいた姜クッ氏(45)も2005年11月頃拉致された。
彼は虎谷地域で居酒屋を営んでおり、北朝鮮女性を雇っていたことが知られている。「本物の北朝鮮女性に会いたいなら虎谷に行け」との噂が広まり、姜氏の店には韓国人客までも尋ねて来るほど盛況であった。
しかし、茂山郡保衛部は姜氏のこのような行為を反共和国策動とみなした。2005年冬、茂山郡保衛部は保衛部要員4人を虎谷に秘密裡に派遣し、酒に酔った姜氏を袋に入れて北朝鮮に拉致したという。

脱北者姜コン氏と連携していた華僑1人も拉致
脱北者姜コン氏を助けたという罪で、中国人華僑1人も2005年3月に中国丹東において北朝鮮保衛部により拉致された。
※中国朝鮮族自治州長白県中国公安当局関係者によると、1990年代の初めから現在まで長白市を始め長白県近隣で北朝鮮に拉致され行方不明となった中国人は約100人に上るとされている。

両江道恵山市と金亨稜郡(昔の厚昌郡)などと国境を接しているこの地域は、過去に北朝鮮住民との闇取引が最もさかんであった地域であり、両江道恵山市は反政府活動などで最も多くの北朝鮮住民が処刑された地域として知られている。狭い鴨緑江を間に挟み、多くの人々の往来があったため、この地域における保衛部の活動も最も活発に行われていたとされている。






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